福島に行こう 福島ツアーレポートその2
複雑な福島市民(県民)感情
22日午前、福島高教組本部を訪問し、原発事故で避難している高校・生徒・教職員の現状を聞いた。その詳しい報告は後日するつもりだが、今日は印象に残った福島市民(県民)の感情について書きたい。
お話を聞いたのは現職の高校教師のSさん。1時間半ほどお話を聞いた後半、僕は福島県立医大元教授・山下氏をどう思うか質問した。安全を振りまいた問題の教授である。僕の予想に反して、S先生は山下教授を非難しなかった。
福島市民(県民)は、ここに住んでいて安全だと思いたい(信じたい)願望がある。安全だと言ってもらえばほっとできる。しかし、本当に安全なのだろうか?という疑いもある。特に小さなお子さんを持つ若い世代は。
危険だという学者の説にも納得する。そちらのほうが受け入れやすい。しかし、ではどこに住めばよいのかとの反発の感情もわく。仕事・家庭・経済事情から、危険と言われてもおいそれと簡単に移住できない現実がある。
線量が高く避難している生徒と、そうでない地区の生徒の感情の対立のお話は衝劇的だった。政府によりそこに住んではいけないと認定された住民には一人当たり10万円の補償金が毎月支払われている。子どもも当然その対象になっている。
10万円をもらっていない生徒が避難してきた生徒に、「お前ら東電から10万円もらっているのだろう」とうらやましげに話し、傷ついた生徒の中には不登校になる例もあるとのこと。
確かに高校生にとり月々10万円は大金である。ねたむ気持ちもでるだろう。しかし当事者の家庭にとりその金は、子どもの小遣いでなく生活費である。仕事を奪われ、家を奪われ、家族がばらばらになり、いつ故郷に戻れるか分からない状況の中で、その金は将来の蓄えにもなっているだろう。
しかし時間の経過とともに、被害者への同情からねたみに変化している感情については、今回の旅行であちこちで感じ・聞いた。
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