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2014年5月

2014年5月31日 (土)

大飯原発運転差し止めを命じた福井地裁判決に心から拍手、裁判長に敬意

5月21日、福井地裁・樋口英明裁判長は、関西電力大飯原発3,4号炉の運転差し止めを命じる住民勝訴判決を出した。

 原発裁判では、初めての運転差し止め判決である。樋口英明裁判長及び2人の陪審裁判官の勇気ある判断に、心から敬意と感謝を申し上げたい。

 歴史に残る名判決だから、記録に残すためにも、重要な部分を引用したい。

『 原発は電気の生産という社会の重要な機能を営むものだが、その稼働は、憲法上は人格権の中核部分より劣位におかれるべきものだ。大きな戦争以外で、この根源的な権利が極めて広く奪われる事態を招く可能性があるのは、原発の事故のほか想定しがたい。このような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は、存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても、少なくともそのような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差し止めが認められるのは当然だ。』

 原発の運転(再稼働)よりも、人格権のほうが憲法上優位に置かれるべきとの判断である。判決では、はじめにと小見出しをつけ、次のように人格権を説明している。

『 個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、その総体が人格権といえる。生命を守り生活を維持するという、人格権の根幹部分に対する具体的な侵害の恐れがあるときは、侵害行為の差し止めを請求できる。』

 戦争と原発が、根源的な人格権を広く奪うという指摘は、まさに図星・当を得ている。人類にとりこれほど危険で有害なものはないと、暗に指摘していると思う。

 チェルノブイリ、福島原発事故の被害・影響は、まさに広範囲・多くの人々に及んでいる。浜岡原発が爆発したら、さらに広範囲・多数の住民が被害をこうむる。浜岡に限らない。大飯原発も北陸・関西圏の広範囲に影響が及ぶ。全国の原発全てがそうだ。

 すべての原発は「そのような事態を招く具体的危険性が万が一でもあ』る。この判決は脱原発を願うすべての人々に、勇気と希望を与えてくれた。

 午後から出かける用があるので、この判決の意義について次回も書きたい。

 

2014年5月28日 (水)

原発再稼働を急ぐ安倍政権と浜岡原発再稼働を許さない静岡県の運動

27日政府は、原子力規制委員2人の交代を発表した。原発敷地内の断層問題で電力会社に厳しい態度をとってきた島崎邦彦委員長代理の再任を認めず、石渡明東北大教授を後任に、大島賢三委員の後任に原発推進派の田中知東大教授を任命した。

 島崎さんから田中教授への交代は露骨な再稼働どんどんである。田中氏はかつて原発メーカーから110万円の研究費をもらっている。2年前、朝日新聞のインタビューに「エネルギー保障や産業界への貢献など、原子力はまだまだ必要な技術」と答えている。

 島崎さんと大島さんの任期は9月まで。10月から審査がどんどん進み、規制基準合格となる原発がいくつか出ることが予想される。

 浜岡原発の審査は後回しになっているが、来年中電の安全対策工事が完了する9月ごろ、規制基準合格が出ることも考えられる。

 そこで僕たちは来年9月をめどに浜岡原発再稼働反対署名を集める準備をしている。このことについては、以前にも少し書いた。

 県内の市民団体がバラバラでは大きな組織に勝てるわけがない。統一行動ができるよう、5月18日に、「浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク」を立ち上げることにした。以下の文章は、その合意に基づき新しい”会”への参加を呼びかける文である。

 

浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク参加要請

 

 5月18日、第4回脱(反)原発市民団体交流会が開催され、単なる交流会から一歩進んだ「浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク」を立ち上げることが、参加した40団体の賛同を得て決まりました。

 

 そこで下記の申し合わせ事項と当面の活動計画を了解いただいたうえで、各団体・個人に正式にネットワークへの参加をお願いします。

 

 

 

 目的  浜岡原発の再稼働は絶対に許さず、脱原発社会の実現をめざす。

 

 できるかぎり多くの人と緩く広くつながり、原発についての情報を共有す

 

 る。

 

② 組織  会(ネットワーク)は静岡県を中心に、上記目的に賛同する市民

 

   団体、個人をもって構成する。

 

  全体交流会  会は情報交流、活動交流のために、全体交流会を年に数回

 

  行う。全体交流会では、目的に沿った共通課題についても協議する。

 

  世話人会  全体交流会の運営をスムーズにするため、おおむね10団体  

 

  から選出された世話人で構成される「世話人会」を開く。

 

  会の活動                            

 

   ・できるかぎり多くの人に緩く広くつながるメーリングリストを活用し

 

    て、原発についての情報を共有する。

 

   ・全体交流会で合意された活動について取り組む。取組に当たっては

 

    各会の自主性を尊重する。

 

   ・緊急課題については世話人会で協議し、メーリングリストで提案して

 

    取り組む。

 

  財政  会の財政運営はカンパで賄う。

 

 

 

当面の活動計画

 

1)会結成記念講演会  8月2日または3日 講師は今後詰める。 

 

2)浜岡原発再稼働反対統一署名に取組む。署名期日、様式、提出先、賛同団体など細部は、6月7日実行委員会を開いて詰める。

 

 

 

 正式参加してくれる団体・個人は、7月15日までにその旨連絡ください。メーリングリストに入っている団体・個人は返信メールで。ファックスで送った団体は、事務局FAX054-271-7339までお願いします。

 

 多くの団体・個人に参加してもらい、再稼働をストップさせる大きな力となるように育てたい。

 僕たちの運動を援護・後押しする素晴らしい判決が先日福井地裁で出た。大飯原発3,4号機の運転差し止めを命じた福井地裁判決については、次回感想も含めて書きたいと思っている。

2014年5月27日 (火)

シリーズ「集団的自衛権行使の落とし穴」 5 最終回

色々問題点を指摘してきたが、他のテーマも書く必要があるので今回でいったん最終回としたい。

 どう解釈改憲を阻止するのか

1 他力本願になるが、公明党や創価学会に働きかけて、『平和を守る』を組織設立・拡大に訴えてきた原点に立ち返り、与党の中で自民党に屈しないよう要請する。

 知っている公明党の地方議員や学会員に同じように働きかける。本当に情けないが、当面は公明党が閣議決定に賛成しないよう、色々な角度から働きかけるのが一番有効だと思われる。

2 解釈改憲で集団的自衛権行使容認の不当性・危険性を、世論に訴える。このブログもその一つだが、あらゆる手段で回りの人々にこの問題を取り上げ、粘り強く働きかけて反対の世論を高める。

 家族の会話。近所の人や知人・友人との会話にさりげなくこの問題に触れる。相手の反応を見ながら、掘り下げて話す。

 メール・ツイッター・フェイスブックなどでも、この問題を取り上げる。また情報を拡散する。

 新聞・雑誌などに投稿する。署名活動に協力する。

 安倍首相は憲法96条(改憲の手続き、議員の三分の二以上の賛成条項)改正を突破口に、9条改憲を狙ったが、反対世論の高まりで断念した経緯がある。

 一部のマスコミは賛成しているが、多くの報道機関特に地方の新聞社は解釈改憲に反対している。世論調査でも憲法を変えずして集団的自衛権行使容認反対が賛成を上回っている。

 この世論を更に高める必要がある。

2014年5月24日 (土)

シリーズ「集団的自衛権行使の落とし穴」 4

集団的自衛権を行使して日本が自国が攻められてもいないのに海外で武力行使(戦争)をして、だれが喜ぶのだろうか? だれが利益を得るのだろうか? だれが満足感・達成感を得るのだろうか?

 集団的自衛権行使の先輩?アメリカをみてみよう。一番利益を得、喜ぶのは軍需産業だ。戦争で武器弾薬が消費されればされるほど、儲かる。

 戦争になっていなくても、自国を守るに必要な装備(大きく言えば軍事費)だけでなく、海外で戦争できる装備を調達・維持するためには膨大な軍事予算が付き、仕事が回ってくる。

 アメリカ兵の死傷者が増えると国民の反発が大きくなるから、ロボットや無人機の開発・生産、より効率的で強力な殺傷力を持つ武器の開発・生産、その技術と生産力で外国に武器輸出と、もろてにあわの利益を得るのが軍需産業である。

 そしてそのおこぼれを得て喜ぶのが軍需産業で働く労働者であり、巨大軍需産業の立地自治体だ。

 次は政治家。軍需産業と結びついた政治家は、選挙が有利となる。政治献金も増える。政治家の大物(大統領や政界のトップ)クラスは、選挙・政治資金が有利となるだけでなく、満足感・達成感・名誉欲も得られる。

 歴史に名を残す。国を動かす(軍隊を動かす)、世界を仕切る、世界平和に貢献している(実際にはその逆だが)と、小さな人間(人格的に)が大きくなった倒錯感に陥ることができる。

 国防省や国務省(日本でいえば外務省)の官僚も喜ぶ。大きな予算が回ってくる。他省庁の官僚より、”大きな仕事をしている”との満足感・達成感・自己顕示欲が満たされる。

 平和憲法をないがしろにして集団的自衛権行使の名のもとに米国と一緒に戦争ができる国になれば、利益を得るのは日本も同じ連中である。

2014年5月23日 (金)

シリ-ズ「集団的自衛権行使の落とし穴」 3

解釈改憲で集団的自衛権行使ができるようにしたいと主張する安倍首相・石破自民党幹事長らの本音は、とにかく自衛隊をもっと活用したい、武器使用基準を緩め、どこへでも自由に出ていけるようにし、「国際紛争を解決する手段として」軍隊を使える「普通の国」にしたい、ということだろう。

 その目的のために、色々な具体例を挙げ、危機をあおり、現状ではダメだ、自衛隊が「国民の生命・財産、領土・領海を守れるようにすべき」と説く。

 具体例の一つに、「漁民を装った武装集団の離島上陸・占拠」がある。公明党はこのグレーゾーンは個別自衛権や海上保安庁で十分対応できると反論している。

 もし仮にどこかの漁民を装った武装集団が沖縄県の離島に不法に上陸、そして退去を拒み占拠するケースを考えよう。

 何のためだろうか?どんな利益があるのだろうか?だれが危険な行動を命じるのだろうか? 占拠した後、その離島をどうするつもりだろうか? 

 この不可解なケース(実際にはあり得ないが)への対応を、もし僕が首相ならこのように対応したい。

 豊臣秀吉に倣って、「兵糧攻め」作戦をとる。 自衛隊は出さない。海上保安庁が、「退去を呼び掛ける」。自主的に島から出るまで、離島の周りを海保が取り囲む。

 おそらく1週間、長くてもひと月で、水や食料が尽きるだろう。その集団はギブアップせざるえないだろう。 武力行使せずに、解決できる。

 そもそもこのような武装集団を送る国があるだろうか? 台湾はあり得ないと断言できる。台湾漁民は、とにかく漁ができるよう沖縄の漁民とうまくやりたいと願っている。台湾政府が命じることもあり得ない。

 この離島を尖閣諸島だと想定しても、台湾の本音は漁民の安全操業である。武装集団(軍人)が島を占拠するのは、失うものが大きすぎる。なんのメリットもない。

 では中国政府はどうだろう? 確かに領有権を主張している。そのため公船を周辺に送り込んでいるのは事実である。 しかし政府が武装漁民を装った人民解放軍兵士を送り込むリスクは、あまりにも大きい。アメリカや国際社会からの経済制裁を覚悟しなければならい。へたをすれば、戦争に発展する恐れがある。

 ウイグル族やチベット族への対応で、手一杯。国内の貧富の格差、意識が高くなった民衆の腐敗した共産党地方政府への反乱など、国内問題で手いっぱいが中国の現状である。

 ベトナムに対しては高圧的だが、それを日本に当てはめるのはためにする議論に過ぎない。

 沖縄南西諸島の離島不法上陸・占拠も、冷静に考えればあり得ないし、海保で十分対応できる。自衛隊を出す必要はない。

 沖縄南西諸島は中国との領有権問題もない! そのようなところに武装集団を送る大義もないし、中国の民衆が勝手に武装して小舟で来るには、距離が遠すぎる。民衆をがっちり抑え込んでいる政府が、許すわけがない。

 こうして冷静にみてくると、安倍首相が言っていることは漫画である。しかし騙される国民がいる。実は安倍首相らは、冷静に戦略を練り、漫画で国民を納得させようとしている。落とし穴を見抜く力をつける必要がある。

 

 

2014年5月21日 (水)

シリーズ「集団的自衛権行使の落とし穴」 2

安倍首相が集団的自衛権行使ができるようにしなければならないと、具体例を挙げてあげているいくつかを取り上げ、そのまやかし(巧妙に国民を自衛権行使容認へと導く落とし穴)を論破したい。

 イ) 【 韓国から避難する日本人を乗せた米艦船が攻撃されても、日本は何もできなくてよ  いのか?】

 安倍首相はボートに乗った日本人のおじいさん、おばあさん、お母さん、こどもの絵を示しながら、この人たちを守るために集団的自衛権行使が必要なんですよ、と感情に訴える説明をした。

 冷静にこのような事態が起きるか考えよう。朝鮮半島で戦争が起きる事態である。確かに北朝鮮はよくわからない国だ。僕は祖父・父の権力を世襲制で受け継いだ最高権力者・金ジョンウンの太った姿、顔をテレビで見るたびに、不快になる。多くの人々が不安を抱いているのはよく理解できる。

 南北の小さな衝突はあるかもしれない。しかしかつての朝鮮戦争のような全面戦争はあり得ないとみている。両国の後ろ盾となっている米中が許さない。国益に反するからだ。北朝鮮指導部も、南北の全面戦争になれば軍事的勝利はないことを理解している。近代的兵器に勝る韓国のほうが、はるかに有利である。

 全面戦争をしかけたら国(金ジョンウン体制)は崩壊する。それを知っているから、やられたらやりかえすやぶれかぶれの武器=核兵器に固執している。

 僕は韓国に10数回行っている。来年は21世紀の朝鮮通信使友情ウオークに参加し、ソウルからプサン、そして最終的には東京まで、韓国人・在日韓国人・日本人ウオーカーと共に50日間歩く予定である。

 3年前にもソウループサンを歩いた。韓国の人々は、北朝鮮が攻めてくる=全面戦争の恐れがあると誰一人心配していないことがよく分かった。韓国に滞在する日本人がアメリカ軍に救出される事態は、韓国の人々も避難しなければならない事態である。

 あり得ない!!!  荒唐無稽なケースを取り上げ、日本人の生命を守るのは国の最高指導者として責務である、などと叫ぶのは漫画である。

 もっと冷静に考えよう。日本人避難の輸送手段について。あり得ないが万が一そのような必要が生じたときの輸送手段である。

 戦争には前兆がある。原発事故とは違う。本当に避難しなければならない事態になるまで、時間がある。民間の飛行機や船で十分である。韓国と日本の空は1日10数本の(それ以上かもしれない)飛行機が飛び交っている。船はプサンー下関間を毎日行き来している。プサンー福岡便も毎日出ている。

 本当に非常時になれば、民間の船をチャーターすればよい。米軍の艦船に頼る必要は全くない!!!

 韓国と日本、北朝鮮の地図を思い浮べよう。韓国南部から日本への航路は、北朝鮮の制海権が全く及ばない。米艦船への攻撃どころか、民間船への攻撃も現在の北朝鮮の海軍力では不可能である。38度線以南の韓国領海に入れば、韓国軍や米軍に攻撃され、撃沈される。

 安倍首相及びそのブレーンは、こうしたことを分かったうえで、危機をあおり、集団的自衛権行使ができるよう憲法解釈の必要性を訴えている。それは周到に準備された、国民洗脳のための戦略である。

2014年5月19日 (月)

シリーズ「集団的自衛権行使の落とし穴」 1

集団的自衛権行使の名のもとに、また国際平和を守るという大義名分で、海外で軍事行動を最もたくさんしてきた、そして現在もしている国がある。

 安倍首相が模範とする『積極的平和主義』の国・アメリカである。自国が攻められてもいないのに、第二次世界大戦終了後どれほどの戦争をアメリカがやってきたのだろうか?

 昨年10月、アーサービナードさんの講演会を袋井市で主催したが、彼の指摘によるとアメリカは宣戦布告なき戦争を戦後ずーとやってきた。中南米で、アジア・アフリカで、中東で。今もアフガニスタンで戦争をしている。

 海外に軍隊を送る根拠は、集団的自衛権である。腐敗した政権や独裁政権、アメリカにとって都合のよい政権や勢力の要請を受ける形で(実際にはアメリカの意思で)、アメリカの若者を海外に送り戦争をやらせてきた。

 その結果はどうだろう? 軍事同盟を結びアメリカに軍隊を送ってもらった国、腐敗した政権や一部の勢力がアメリカの軍事介入を要請した国の人々は、平和で幸せな暮らしを送ることができたのだろうか?

 罪なき赤ちゃんや子供、女性、老人を含む庶民が巻き添えで殺され、家を破壊され、故郷を追われ、傷つく、無残な結果のみが残っている。

 一方軍隊を送った国の民はどうだろうか? 世界平和のため、アメリカのため(愛国心)と海外に送られた若者は、どれ程傷つき、死んだのだろうか?

 ベトナム戦争では5万を超えるアメリカの若者が死に、イラク・アフガン戦争では5000人以上の若者が死んでいる。負傷者は数十万人を下らないだろう。

 戦争が終わっても、心・精神を病んだ若者の悲劇も深刻である。家庭内暴力・殺人・自殺・麻薬などなど、正常な社会復帰ができない若者の数は、1万を超えるだろう。本人だけではない。妻や子供、両親の悲しみ・苦しみを考えると、一体アメリカは自国の民にどれ程の悲劇をもたらしてきたのだろうか。

 安倍首相は美しい言葉(?)で、国民の命と財産を守るため集団的自衛権を行使できるようにしなければならないというが、実際に海外に送られるのは自衛官である。つまり日本の若者である。

 国を守るために自衛隊に入った若者が、アメリカ同様に海外で戦争をすることになれば、その結果どうなるだろうか?

 同じ悲劇が起きることを心配している。

 

2014年5月16日 (金)

都合のよい解釈で憲法を無視することは許されない

昨日の首相記者会見で、安倍首相は何度も「国民の命を守るため」と感情に訴えながら、集団的自衛権行使に向けての「基本的方向性」を説明した。

 しかしその「基本的方向性」は公明党を納得させるため、さらには言葉のレトリックで国民をだまして、憲法改正を経ずに自衛隊が海外で戦争ができるようにする方向性に過ぎない。

 憲法9条を精読すれば、安保法制懇や安倍・高村・石破などが主張していることは、全く論理的整合性がない。更には、歴代自民党政権が積み重ねてきた「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」という解釈にも歴然と矛盾している。

 憲法第2章 戦争の放棄

【 戦争の放棄、戦力及び交戦権の否認 】

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 国の基本的方向性は、『 国際紛争を解決する手段として、武力を使わない 』 である。これほど明確に武力行使を禁じているにもかかわらず、憲法改正を経ずに、自衛隊が海外で武器使用して、自国が攻められてもいないのに、他国と一緒に戦争ができるようにしたいというのが、安倍首相の方向性である。

 憲法改正はハードルが高いから、解釈改憲でなし崩し的にやりたいことをやる。実績(?)を積み上げ、現実と憲法がかけ離れているから、憲法を変えるべきだという世論を作る、自民党の常とう手段である。

 しかしこんなことを許せば、憲法は無いに等しい! 日本は法治国家でなくなる。

 次回からシリーズでこの問題を色々な角度から掘り下げ、さらには具体的にどうすればこの危険な方向性を阻止できるのか考えたい。

2014年5月15日 (木)

安保法制懇の報告書は何の権威もない 安倍の私的なお仲間のお墨付きに過ぎない

今日、安保法制懇の報告書提出を受けて、安倍首相が憲法解釈による集団的自衛権容認に向けて記者会見をする。

 

 やっていることがデタラメである。こんなことを許したら、日本は憲法も国会もいらない独裁国家になる。以下問題点を指摘したい。

① 国の重要なことを決めるにはルールがある。例えばある問題を国会で議論、または法案を出すために、問題点を整理するために専門家・有識者といわれる人たちで構成される審議会を作る。構成メンバーは政権を取っている内閣が選ぶが、国会でもチェックされる。

 ところが、戦後日本が平和国家として歩んできた”国の形”を根本的に変える重要な問題であるにもかかわらず、安保法制懇は安倍首相の私的な懇談会に過ぎない。

 メンバーはすべて安倍首相が個人的に選んだ、同じ考えの持ち主。この連中が出す報告書の結論は、最初から分かりきっている。従って、我々一般の国民には(国会議員も含めて)、今日出される報告書は何の権威も重みもない!

② 今朝の朝日新聞によると、その法制懇の議論もいい加減だったようだ。官僚が作成した原案は秘密保持のため回収され、3月17日の会議のときは事前に手書きしたメモを見ながら行わざるを得なかったとのこと。

 もしこの報道が本当なら、常識ではありえない会議だ。今日出される報告書の一字一句をメンバーが吟味し、議論する機会を奪っている。

 これも新聞報道だが、ある委員は「新聞で先に(報告書の)概要を知った」、「私たちは政権の駒だった」と述べている。

 こんなデタラメな懇談会が出す報告書はお墨付きにもならない。

明日、安倍首相および自民党タカ派が強引に進める解釈改憲について書きたい。

2014年5月12日 (月)

浜岡原発再稼働反対署名

浜岡原発再稼働を絶対にさせない・許さないために、何が最も有効かを考えると、周辺自治体および県知事がNOの立場に立つことだと思う。

 中電が来年9月、安全対策と称する一連の工事を終えたら、国に再稼働の申請をするだろう。その前には、原子力規制委員会が、規制基準に合格との判断を出すことも十分考えられる。

 そうなると安倍政権は機械的にOKと承認するだろう。今の日本で、原発再稼働を止めるのは、世論を背景とした自治体の長だと思う。

 保守とか革新とか関係なく、「原発はダメ」この声を具体的に署名という形で、表すことが極めて重要だと思う。

 今、静岡県ではそのための組織作り、全県統一署名活動の準備が進んでいる。一部の団体ではなく、静岡県内全ての浜岡原発再稼働反対で一致できる団体・グループ・個人が、大同団結して取り組めるように、準備を進めている。

 有権者の過半数の反対署名を集めて(出来れば人口の過半数だが)、周辺自治体(UPZ)の長に住民の側に立った意見表明をしてもらう、そして最終的に県知事が世論が許さないと、中電及び国に再稼働は認められないと、表明してもらうことを目標にしている。

 すべての自治体有権者の過半数の反対署名を集めるのは、並み大抵ではない。ハードルが高い。賛同する団体・グループ・個人をいかに多く集めるか、テレビ新聞でも大きく取り上げられる大きなうねりをいかに作り上げるか、そして実際に署名を集める人間のやる気をいかに高めるかが問われている。

2014年5月 9日 (金)

ジェームス三木講演会レポート

5月3日、憲法記念日袋井市民のつどいに、ジェームス三木さんに「憲法と私」と題して講演してもらった。参加者は242名。

 言葉を繰る仕事をされているだけに、話が面白い。ユーモアにあふれ、会場からは笑いが絶えなかった。固い学者の憲法講話でなく、人間味あふれる講演会となった。話題が豊富で多岐にわたったので、レポートしずらい。思い出すまま、箇条書き風に、印象に残った言葉(お話)を紹介したい。

* ジェームスという名前は、売れない歌手時代の名前。脚本家として歩むことになった時、売れなかった時代を見返してやりたい思いで、そのまま同じ名前を使い今日に至っている。

(ジェームス三木さんが歌手を目指したなんて知らなかった! 彼の脚本や小説に似つかわしくないので以前から疑問に思っていたことが、これで氷解した)

* 人間はもとは動物。闘争本能がある。敵の攻撃を恐れる。あいさつは、「私は敵ではありません。あなたを襲いません」というシグナルが、「おはようございます。こんにちわ」であり、特に西洋では初対面の人と目があったら必ず微笑むのも、相手を安心させる狙いがある。

* 芸能界のあいさつは昼でも夜でも、「おはようございます」。あれは身分差をつけるため。こんにちわ、こんばんわにはございますがつけられない。先輩にあいさつするのに、こんにちわ、こんばんわでは、相手を立てられない。

* 人間社会の秩序を作るため、ルールができた。正しい、悪いという価値観は権力者が決めた。宗教も人間社会の秩序形成に役立っているが、人間が神を作り、社会の秩序を守ってきた。近代では法律である。

* 本能を抑え込むために、倫理・道徳・憲法ができた。

* 憲法は権力者を縛るためにある。主権者つまり国民のほうから、憲法を改正したいというのは筋が通っているが、権力者のほうから憲法改正を言うのは、「泥棒がなわをくれ」というのに等しい。

* 自衛権と集団的自衛権は違う。いつ日本がアメリカを防衛する同盟国になったのか? (日米安保は、アメリカが日本を守る。そのために日本が基地を提供する取り決めに過ぎない)

* おごれるものは久しからず。アメリカはいつか滅びる。歴史的にいつまでも強大な例はない。ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスがそうだ。

* 自分は国民学校で教育を受けたが、ウソの歴史を教わった。天皇は神、日本の歴史は紀元2600年なんて、ウソだ。

*自分は 国に騙された体験から、政府を疑うようになった。

* 戦争は権力が権力を守るために行う。攻める側と侵入される側では、被害が全く異なる。

* 日本国憲法は世界中の憲法からよいところを取り入れて作られた。占領軍の押しつけ憲法という人もいるが、もともと日本という国は外国から色々なものを導入してきた。

* 文化は戦争しない。対立するのは政治家である。

* 人間はとんでもないものを子供・子孫に残そうとしている。核・原発である。

* 健康ブームだが、健康に一番悪いのが仕事。年を取って残るものはその人の人生。大いに楽しむべし。私たちにとって大切なものは、「楽しみ」=「期待感」。「さあ、どうなるのか?」

 自分は作品を作るとき、全て結果がわかるようにはしない。3割は客に考えてもらう余地を残すように心掛けている。

 質疑応答はあらかじめ紙に書いて提出し、ジェームスさんが答える方式だったので、やや緊迫感がかけた。

 うさぎホール380席をいっぱいにすることはできなかったが、よい講演会だったと思う。感想アンケートも好評だった。

2014年5月 4日 (日)

憲法記念日

昨日5月3日は憲法記念日だった。袋井では、第28回憲法記念日袋井市民のつどい「ジェームス三木講演会」を開催した。

 入場者242名。著名な方だから380席のホールがいっぱいになることを期待したが、僕たち袋井の力量からはこんなところかと、自分をなぐさせている。

 ジェームスさんのお話は面白かった! 近所の人も来てくれたが、とても好評だった。次回のブログで話の内容をレポートしたいと考えている。

 憲法集会への行政の後援が拒否されるケースが増えている。幸い袋井市では、10数年前から市及び市教育員会の後援を受け、今年も全く問題なしに後援許可がおりている。

 行政の許可があるので、毎回市の広報に市民のつどいのお知らせを載せてもらっている。公的施設具体的には、市役所・図書館・公民館などにポスター掲示やちらしを置かせてもらっている。

 今回は僕が映画「ひまわり」上映会もあって忙しく学校を回れなかったが、市内の小・中・高にもポスター掲示や教職員にちらしを配布してもらっている。

 時の政権が憲法改正を叫んでいても、すべて公務員は憲法を尊重・擁護する義務がある(日本国憲法98条)。憲法を大切しようとする憲法集会を、行政が後援するのは筋が通っている。

 逆に政治的中立の名のもとに拒否するのは、憲法98条を無視することになる。袋井では、よい伝統を守り続けていきたい。

2014年5月 2日 (金)

原発事故避難シュミレーションはでたらめ

浜岡原発事故避難シュミレーションはいいかげんだ!

 4月23日、静岡県は南海トラフ巨大地震と津波が発生し、浜岡原発で重大事故が起きたと想定した避難シュミレーションを発表した。

 原発31キロ圏内の86万人が避難し終えるのに、32~46時間かかるという。民間の調査では70時間を超えるというシュミレーションがすでに出ている。県の発表に疑問を持ったので、県危機管理部原子力安全対策課に電話して、どのような条件でこの数字が出たのかを確かめた。

 1世帯1台のマイカーで家族全員が逃げる。(昼間事故が起きたら、お父さんやお母さんは職場。子供は学校。親がいったん家に帰り、祖父母がおれば車に乗せ、貴重品や食料、衣類、毛布など最低限の物を積み込み、子供が小さければ保育園、幼稚園へ、また小・中・高校へ迎えに行く必要があるが、こうしたことは想定に入っていない。犬や猫などペットをどうするかも無視。)

 一人暮らしで車を持たない老人や、寝たきり、介護が必要な人、障害を持っている人をどうするのかも、全く考慮されていない。

 特別養護老人ホームのお年寄りや病院の入院患者、児童養護施設の子供たち、福祉施設の入所者の避難には、バスやリフト車、全員が乗れるだけの車が必要だが、これも想定していない。

 31キロ圏外に出るのに30時間超とあるが、巨大地震や津波を想定しているのに、橋が壊れて通れないとか、道路が陥没したり浸水で通れなくなるのも、考慮されていない。

 31キロ圏外に出た人はその場にとどまるのか?、と質問した。例えば浜松市や静岡市まで逃げれば圏外になるが、車がその地域にとどまれば、大変な渋滞になる。県の想定ではマイカー28万台が避難する。何万台もの車が31キロ圏外に駐車すれば、大混雑が予想される。

 県の回答は、「とにかくどんどん逃げる」。 どこに逃げるのかと尋ねた。「避難先が決まっていないので、今回は自分の判断でとにかく31キロ圏外に逃げるとしか想定していない」という返事。

 でたらめである。避難先もわからず、家族がそろってもいないのに全員家にいたことにして、とにかくどんどん逃げる、交通手段がない人もいるのに無視して、作成されたシュミレーションが、86万人避難に30時間超である。

 このシュミレーションには何の意味もない。

2014年5月 1日 (木)

海上自衛隊の責任を問う

海上自衛隊横須賀基地の護衛艦「たちかぜ」の乗組員だった1等海士(当時21歳)が自殺したのは先輩の元2等海曹のいじめだったとして、遺族が国と元2曹に損害賠償を求めた裁判で、東京高裁は4月23日、自殺の予見可能性、いじめと自殺の相当因果関係を認め、国などに7,330万円の支払いを命じる判決を出した。

 今朝の新聞報道によると、国側は控訴を断念したから、これで原告側全面勝利判決が確定した。

 浜松航空自衛隊いじめ裁判にかかわっていたから、この「たちかぜ」いじめ裁判には以前から大きな関心をもっていただけに、原告の主張を全面的に認めたこの勝利判決を喜びたい。

 問題の本質は、「国民の命を守る」という名目の組織(軍隊、今回は海上自衛隊)が、組織の構成員(隊員)の命を守れなかった点と、組織の対面をつくろうため証拠隠しをした点である。

 自衛隊の自殺者は、公務員のなかでもとびぬけて高い。最近は年に80人前後を推移しているが、多いときは100人前後もあった。原因はいろいろあるが、隊内でのストレスやいじめが原因となっている場合が多い。

 今回の裁判では、海自の証拠隠しも大きな争点となった。1等海士が自殺した後、自殺の原因を調査するため「艦内生活実態アンケート」が行われた。そこには多くの隊員がいじめを目撃したと回答している。

 裁判の過程で遺族側が、決定的証拠となるそのアンケートを情報公開請求したところ、海自は「破棄した」と開示しなかった。

 ところが1審で海自側の指定代理人を務めた3等海佐が、アンケートは存在すると内部告発し、「破棄した」と海自が主張したアンケートが出てきた。艦長の「聞き取りメモ」も含め、海自の証拠隠しの違法性を認め、裁判長は国に対し20万円の損害賠償も命じている。

 不都合な証拠を「破棄する」(今回はそれはなかったが)のも犯罪だが、「破棄したので無い」とウソをつくのも犯罪である。

 内部告発がなかったら、証拠は闇に葬られるところだった。さらに勝利判決が出なかったら、内部告発した3等海佐が処分されるところだった。

 今朝の新聞によると、3等海佐の処分は無し、証拠隠しにかかわった幹部の処分を検討するとある。

 マスコミで大きく取り上げられたから、いわば当たり前のことをやろうとしているに過ぎない。特定秘密保護法がこの秋から施工される。組織に不都合なことを「特定秘密」に指定すれば、その秘密を社会正義を守るため暴露した勇気ある公務員は、懲役10年の重罪となる。その情報を集めた記者も罰さられる恐れがある。

 罰せられるべきは、証拠隠しをする組織である。

 

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