
8月2日13:30より、静岡労政会館6階大ホールで、「浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク」発足集会を開催した。参加者は400名超。上は世話人の鈴木卓馬さんのあいさつ。41の県内市民団体が参加していることを報告。

来賓のあいさつとして、三上元湖西市長をお迎えした。三上市長は浜岡裁判の原告でもある。県内で一番、脱原発・浜岡永久停止を訴えている現職市長さんである。三上さんの話は元気が出る。


続いて元東芝原子炉設計技師・渡辺敦雄さんのあいさつ。県ネットの個人会員・署名呼びかけ人でもある。渡辺先生はすべてが終了後の反省会にも出ていただいた。浜岡を永久停止したら、御前崎市の財政は困窮するどころかあと100年は廃炉の仕事で潤う、とのお話をしてくれた。発足集会では時間がなかったので、今後この経済波及理論は、県内各地での学習会や署名とセットのちらしで、多くの県民に知ってもらいたいと思っている。

世話人の一人である桜井さんが、今後の県ネットの活動について説明。主として9月から取り組む「浜岡再稼働反対」署名について、話してもらった。

写真がぼやけているが、浪江町馬場有町長が1時間にわたって、「原発災害から住民の命を守る」と題してパワーポイントを使用して講演してくださった。子ども達のことに及ぶと、時に涙ぐみながら、心にしみるお話だった。
印象に残った言葉を箇条書きにする。
・2011年3月11日、海岸部は津波で大きな被害を受けた。まだ屋根で助けを求めている人たちがいたが、暗くなり救助が2次災害の恐れがあたので、明日助けに来ると、その日の救出作業を打ち切った。
・3月12日午前5時過ぎ。テレビで原発が爆発し、緊急避難しなければならないことを知った。前日の夕方頃には、東電・政府・自衛隊・県当局などは、福島第一原発が危機的状況にあることを知っていたが、避難準備の指示や連絡は全くなかった!
緊急避難を職員に指示したが、どこに逃げてよいかもわからない。病院の患者や老人ホームのお年寄りを運ぶバスも足りない。とにかく浪江町でも海岸から最も離れている津島地区へ避難した。そこには浪江町の支所がある。平時なら30分で行けるところだが、道路が大渋滞で3~4時間かかった。避難準備指示が出されていたなら、もっとスムーズに避難できていたと思う。
海岸部(請戸地区)のまだ生きている、救助を待っている人たちを残して避難さぜるを得なかった。警察も自衛隊も約1カ月間、放射能汚染のため遺体の捜索活動をしてくれなかった。
1か月放置された遺体の損傷は激しく、見るも無残だった。DNA鑑定でやっと身元確認ができた。助かる命を救えなかったことが、自分も含め町民の悲しみであり、それは今も心の傷として残っている。
・我々は津島地区に3日間避難していたが、食料はほとんどなかった。1回の食事にほんの小さなおにぎりが1個! 皆さん想像できますか。
実はこの津島地区は高濃度に放射能で汚染されていた。政府・県当局はスピーディで放射能汚染予測の情報を知っていたが、我々には全く知らされていなかった! 浪江町民はそのため被ばくさせられた。今はまだその健康への影響がはっきりわからないが、今後が心配である。
米軍にはいち早く情報を伝えた政府が、我々には危険を伝えなかったことに怒りを感じている。
・震災・津波による死者は182名。しかし原発災害関連死は、330名を超えている。昨日も30歳の町民が、仮設住宅で自殺された。
今、浪江町の避難者は県内に14,640人。県外に6,442人。45都道府県に及んでいる。児童・生徒は、699校に分かれて学習している。家族もバラバラ。地域が崩壊している。
・避難先で子どもや町民がつらい思いをしている。例えば給食費。浪江町の子供は町が負担(補助)しているので、給食代を学校に持っていかない。そのことを他の子供はどう思うか。「ただで食べている」 そのように思われていないかと、子供の心は傷ついている。
避難先の他の住民から、「税金を払わず、パチンコ・酒で遊んでいる。」と蔑まれる場合もある。
全てが原発事故で狂ってしまった! 避難先の地区の組費(自治会費)を、「あんたたちは払わんでよい」と言われるケースもある。同じ住民とみられていない。男の老人は孤立しがちである。
・昨年8月の町民帰還希望アンケート結果。
戻りたい 18,8%
判断がつかない 37,5%
戻らない 37,5%
時間が経つに従い、戻らないが増えている。特に若い世代がそうだ。
・町の復興には課題がいっぱいある。しかし、「一人一人の暮らしの再建」「ふるさとの再生」を成し遂げていきたい。
・最後に静岡県の皆様へ。 福島原発事故は収束していません。事故の原因究明もなされていません。 浜岡で事故が起きればどうなりますか。
憲法が保障する「文化的な生活」「財産権」「幸福を追求する権利」「人格権」,全てが失われてしまいます。
原発事故の原因究明もされていないのに、再稼働するのは大きな間違いです。
・原子力保安院は、我々にとり「不安院」だった。現在の原子力規制委員会の委員長・田中さんは、福島県出身であることを恥ずかしく思っています。

続いて西原茂樹牧之原市長のお話し。パワーポイントを使い、約20分間、牧之原市がなぜ市として「浜岡永久停止」を訴えているのか、非常に説得力あるお話をしてくださった。

最後の講師は、小野登志子伊豆の国市長。県議会議員のころから環境問題に熱心に取り組んでこられた方だ。狩野川台風で伊豆地方が大変な被害をこうむった話から、危険な原発より再生可能エネルギーで電力を供給すべしとのお話に共感した。

時間が無くなったので、3人の首長対談はカット。ステージに並んでもらい、一言づつ話してもらって、4時に終了。

司会は世話人の藤原さん。一人で全てやっていただき、お疲れ様でした。

県ネットの活動費を集めるため、世話人の白石さんより会場カンパを呼び掛けてもらったところ総額215,399円が集まった! ありがとうございました。受付で県ネット参加申込書を出してくれたのは、個人参加10数名(正確な数はあとで報告します)。団体として参加するところも2つあった。
講師の首長の方たちが帰られた後、枝村世話人の機転で約20分間ぐらい県ネットの集会をもった。主として、県ネットへの要望や意見などを聞くために。
署名についての意見や疑問がいくつか出された。この問題は今後の県ネットの活動にとり、重要な問題だと認識している。世話人間で、また脱原発メーリングリストを使って、11月9日に設定した県ネット全体会で、繰り返し議論し、皆で力を合わせて署名活動に取り組めるようにしたいと思っている。
なお、講師の人たちにお土産を用意していなかったが、牧之原市のお茶農家・増田さんが5人分のお茶のお土産を提供してくださった! ありがとうございました。
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