
11月18日午後4時に県危機管理部原子力安全対策課に下記の質問書を提出した。
2014年11月18日
UPZ市民交流会
川勝平太静岡県知事様
浜岡原発事故災害時の広域避難計画に関する公開質問書
私たちは浜岡原発から31km圏内で活動している市民団体です。浜岡原子力発電所に関わる原子力災害時の広域避難計画については、本年5月22日開催の市町原子力防災対策研究会で検討され、避難先選定に当たっては、1.①避難者の受け入れは原則1カ月程度,②スクリーニングや除染は静岡県内で行う、③避難所運営の初動対応(3日間程度)は避難先自治体、その後は避難元自治体で行うなどの条件を提示。2.避難先については、原子力災害の単独発生時は県内市町および隣接県や東海地方、地震や津波との複合災害発生時は関東甲信および北陸地方を想定して交渉。3.スクリーニングポイントは、31km圏外の室内、駐車・除染スペースのある公共または民間施設などを選定する予定。などと報道されています。
また原子力災害対策重点区域(PAZ+UPZ)居住者(約28万世帯、94万人)が31km圏外に自家用車で避難する場合のシミュレーション(避難時間推計)結果も公表されました。
私たちはこれらについて検討した結果、様々な疑問や不安を持ちましたので、以下の通り公開質問します。これらの質問について、26年11月27日に公開の場でのご回答をお願いします。
1. 広域避難シミュレーションについて
① 地震・津波災害と原発災害との複合災害では、道路の隆起・陥没・冠水・液状化や、倒壊物・火災等による通行阻害、橋の滑落・破壊や斜面崩壊等による、通行阻害が不可避です。静岡県第4次地震・津波被害想定等を踏まえた現実的なシミュレーションが必要ではないですか。
② 地震・津波災害と原発災害の複合に留まらず、大規模災害発生直後には大量の粉じん発生に起因する異常気象災害(集中豪雨・発雷・突風災害など)や富士火山噴火災害との複合も考慮する必要があるのではないですか。
③ 自家用車を持たない・運転できない世帯や災害弱者(入院患者・福祉施設入居者など)の避難を考慮に入れていないのは、災害弱者の切り捨てではないですか。
④ 自家用車での避難を想定しているが、走行中地震にあった際には車のかぎをつけたまま徒歩で避難する指導指針との矛盾をどのように考えていますか。
2. ヨウ素剤の配布体制について
① 31キロ圏内市町への指導の内容(戸別事前配布か拠点備蓄か。服用規準と服用指導など)はどうなっていますか。
② 屋内退避中の児童・生徒に誰が責任をもって配布し、服用させるのですか。
③ ヨウ素剤は県または国から補助金が出るようですが、UPZの指定された地区しか補助金が出ないのですか。
3. 災害弱者(病院入院者、介護施設・福祉施設入居者、障害者、在宅要援護者、車を持たない・運転できないお年寄り世帯など)の避難先・避難方法について
① 関係施設・機関が避難先と避難手段を確保しなければならないのですか。
② 車を持たない・運転できない高齢者や障害者、在宅介護要支援者を抱える世帯の避難を、誰が責任を持って、どこへ避難させるのですか。
③ 在園・在校中に緊急避難事態となった場合の、保・幼・小・中・高の児童生徒の避難の責任は誰が負うのですか。(施設管理者か、保護者か、当該施設の長か、避難指示者か。
④ 災害弱者の避難先確保は誰がするのですか。(各施設か、各市町と避難先市町との協議か)
⑤ 老人ホーム・病院等の避難先が具体的に決まっているところがあれば教えてください。また、確保できない場合はどうするのですか。
4. 広域避難以前の屋内退避について
① 巨大地震・津波災害発生、家屋倒壊・損傷のため建物の気密性喪失という条件下で、屋内退避できる健全な施設はあるのですか。また、通報手段なしという条件下では、各施設・家庭での屋内退避の指示と連絡、解除と31km圏外への避難指示は誰がどのように行うのですか。
② 屋内退避から広域避難への変更が指示された場合、移動手段はどうするのですか。
③ 各施設への迎えのバスを手配する場合、UPZ圏内全体で何台必要ですか。その手配は誰がするのですか。
5. スクリーニングについて
① PAZ+UPZの住民約94万人のスクリーニング(除染を含む)をどこで、だれが主体となり行うのですか。これが決まらなければ、関係市町の避難経路も確定できません。確定の時期はいつごろですか。
② 94万人のスクリーニング(除染も含む)を行う体制(機器・機材・人員)はそろっていますか。その費用はどこが負担しますか。
③ スクリーニングに中電はどのように関わるのですか。中電の責任と必要機器・資材の準備と費用負担に関して中電と協議すべきではないですか。
④ スクリーニング(除染を含む)に必要な時間は、一人・一台の車に平均何分と予測していますか。
⑤ 広域避難にはマイカーの除染が必要ですが、その対処方法をどのように考えておられますか。
6. スピーディーの測定値の公表はしないとのことですが、放射能拡散方向の予測をどのように行うのですか。またその情報をどのように正確・迅速に伝えるのですか。
7. 原発事故による避難生活は長期化します。長期にわたる食料・飲料水などを含む生活必需品の確保・配布は誰が責任を持ちますか。
8. 原発重大事故時の広域避難はPAZ優先、その後UPZ屋内退避後の段階的避難となっていますが、重大事故時には数時間でUPZ圏内も放射能で汚染されます。94万人の住民が被曝することなく、避難できると考えていますか。
9. 本年8月15日、静岡県は避難計画の策定を支援するため共にワーキングチームを作る内閣府の担当者から、避難者受け入れを打診していた関東甲信、北陸,東海地方の11県(東京を除く)から正式な報告を受け地震・津波・原発の複合災害時は、埼玉・群馬・長野・富山・石川・福井の6県で約130万人、原発災害のみの場合は、神奈川・山梨・愛知・岐阜・三重・滋賀の6県で約130万人の受け入れ可能との報道がありましたが、静岡県・県内関係市町と受け入れ先県・市町村とのマッチングは確定しましたか。また、行政機関の避難先確保も考慮されていますか。
10.各市町の避難ルートはどうなっていますか。
11.段階的に避難となっていますが、具体的にはどのように考えておられるのですか。
12.ガス欠で避難できない、途中立ち往生する車も考えられます。ガソリンの補給体制はどうなっていますか。誰がどういう方法で補給するのですか。
13.UPZの範囲指定は、焼津市は全域だが藤枝市は地区指定で全域となっていないが、なぜそのような違いがあるのですか。
また、指定地区と指定されない地区では、具体的にどのような違いがあるのですか。
14.避難計画に関する一般市民の不安や疑問を県の担当者と直接やり取りできる場が持てないでしょうか。
UPZ市民交流会参加団体(質問書提出共同団体)
なくそう浜岡原発・命とふるさとを守る藤枝市民の会(藤枝市)
避難者を支援する志太榛原住民の会(藤枝市)
浜岡原発はいらない島田の会(島田市)
安心して暮らせる島田を創る市民の会(島田市)
浜岡原発をなくそう・吉田町民の会(吉田町)
浜岡原発を考える牧之原市民の会(牧之原市)
浜岡原発の危険から住民を守る会(菊川市・御前崎市)
浜岡原発はいらない・命を守る菊川市民の会(菊川市)
浜岡原発を考える会(御前崎市)
掛川金曜アクション有志の会(掛川市)
原発いらない掛川の主婦たち(掛川市)
浜岡原発を考える袋井の会(袋井市)
浜岡原発はいらない磐田の会(磐田市)
明るい未来を!磐田(磐田市)
県のほうは杉浦課長、石井専門監ら6人が対応してくれた。僕たちのほうは11月27日に回答を文書でほしいと伝えたが、他の部署に関係する質問もあり、さらには3連休もはさんでいるので、希望の日時に回答できるかどうかは21日に連絡してくれることになった。
この後、県政記者クラブで記者会見。安全対策課でもテレビカメラが入っていたが、記者会見では下記の報道機関が対応してくれた。
静岡放送、静岡新聞社、静岡第一テレビ、中日・東京新聞静岡支局、共同通信静岡支局、毎日新聞静岡支局。
UPZ5市2町と中電との安全協定締結に関し、県知事と関係首長との会談で「周辺自治体の事前同意」が必要との認識で一致している。
避難計画に関しても、「周辺自治体と住民の納得が得られない限り、避難計画策定が完了したことにならない」、この目的のための住民側のアクションの第一歩と位置付けている。
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