10月30日、川勝静岡県知事あてに、2つの要望及び質問書をUPZ市民団体交流会として提出した。


場所は知事公室。対応してくれたのは、秘書課総務班長・高松氏。文書は下記のとおり。
2015年10月30日
静岡県知事 川勝平太様
UPZ市民団体交流会
浜岡原発再稼働の是非に関する「地元同意」についての要望及び質問書
私たちは浜岡原発から31キロ圏内で活動する市民団体で構成する「UPZ市民団体交流会」です。福島第一原発震災の教訓を踏まえ、UPZ圏内ほとんどの自治体に脱原発市民団体が誕生し、浜岡原発の再稼働を許さぬようまとまって活動していこうと、3年前に結成しました。各地域持ち回りの交流会をすでに13回開いています。これまで5市2町と中電との安全協定締結や原発災害広域避難計画に関わる要望及び質問書を県当局に提出しています。
今回は「地元同意」に関する要望及び質問書を提出する次第です。
UPZ圏内4市に加えて、5市2町当局も中電との安全協定締結に向けて話し合いを進めていますが、行政も私たち住民も最大の関心事は、再稼働に際し「地元同意(事前了解)」の地元とはどこまで入るのかです。
九州電力川内原発においては、地元は薩摩川内市のみとされ、残念ながら鹿児島県と薩摩川内市の同意で再稼働されてしまいました。報道では、UPZ圏内自治体の避難計画は実効性に欠けること、老人ホーム入居者や入院患者・災害弱者の受け入れ先が決まっていないこと、火山災害の影響が考慮されていないことなど、憲法で保障された基本的人権・財産権を無視した見切り発車の再稼働であると批判が高まっています。
静岡県では掛川・島田両市長が、「実効性ある避難計画が策定できなければ、再稼働は認められない」と議会で言明されています。
知事は昨年11月及び今年6月の定例記者会見で、浜岡原発再稼働にはUPZ圏内11市町の同意が必要になるとの考えを示されています。この点、鹿児島県とは大いに異なると私たち市民団体は知事の姿勢を評価していますが、県議会では同様な発言をされてはいません。
そこで、万が一浜岡原発苛酷事故が起きた場合広域避難を強いられる当事者である私たちは、下記の点について要望と質問をします。なお関連する資料(1,2)を添付します。
1. 知事は浜岡原発の再稼働にはUPZ圏内4市に加えて5市2町の同意が必要になるとの認識を記者会見で表明されていますが、この点に関し、改めて公的な場(県議会や県民だよりなど)で明確に知事のお考えを示してください。
2. 地元(UPZ圏内11市町)の同意だけでなく、県内他地域の自治体の意向や県民の意見も大切だと考えますが、この点知事はどのようにお考えでしょうか。
以上の要望並びに質問に対し、直接私たち市民団体の代表との懇談の場を設定され、お答えください。
公務などで直接会ってのお答えが困難な場合は、文書でお答えください。
UPZ市民団体交流会参加団体
さよなら浜岡原発・焼津市民の会
なくそう浜岡原発・命とふるさとを守る藤枝市民の会
浜岡原発はいらない島田の会
安心して暮らせる島田をつくる市民の会
浜岡原発なくそう・吉田町民の会
浜岡原発を考える牧之原市民の会
浜岡原発はいらない・命を守る菊川市民の会
浜岡原発の危険から住民を守る会(御前崎市)
浜岡原発を考える会(御前崎市)
原発いらない掛川の主婦たち
金曜アクションIN掛川
掛川署名実行委員会
浜岡原発を考える袋井の会
浜岡原発はいらない磐田の会
明るい未来を!磐田
要望及び質問書に関する連絡先 437-0035 袋井市砂本町2-10
竹野 昇


知事宛てだが、原発災害避難計画に関わる要望及び質問書は、危機管理部原子力安全対策課に提出。 ここでは多くの人に文書を読んでもらい、さらに説明をしてもらった。4時から初めて終わったのは4時45分。
2015年10月30日
静岡県知事 川勝平太様
UPZ市民団体交流会
浜岡原発災害広域避難計画に関わる要望及び質問書(その3)
私たちが本年2月18日に提出した要望及び質問書に対し、3月27日に文書回答と質疑の時間をいただき、ありがとうございました。この回答並びに本年7月21日に公表された「浜岡地域原子力災害広域避難計画の策定状況」を検討した結果、再度の要望及び質問書を提出します。なお、これに関連する3つの資料を添付します。
12月25日までに、文書回答及び口頭補足説明も含む懇談の場を設定されるようお願いします。
1. 実効性ある避難計画(避難を強いられる住民や病院・福祉施設などが納得できるもの)が策定できなければ、再稼働は認められないと私たちは考えますが(島田・掛川市長は議会で、同様な見解を述べています)、知事はどのようにお考えでしょうか。
2. 広域避難シミュレーションを新しい状況に基づいて実施することを要望します
「浜岡地域原子力災害広域避難計画の策定状況」によると、原子力単独災害時の避難先は、牧之原市・吉田町・島田市・藤枝市・焼津市の5市町は川根本町、静岡市及びそれ以東の地域に避難することになっています。
また御前崎市・菊川市・掛川市・袋井市・磐田市の5市は、浜松市・湖西市及びそれ以西の地域に避難することになっています。
昨年4月に公表されたシミュレーションは、避難方向に関係なく31キロ圏外に自家用車で避難する場合の所要時間でした。新たに避難先の方向が明示されたのですから、新たな状況を踏まえたシミュレーションの実施を要望します。私たちは複合災害時のシミュレーションが大切だと考えています。
今後、複合災害時の各市町住民の避難先が確定した段階では、静岡県が実施した第4次大規模地震災害被害想定に用いた各メッシュごとの災害危険度情報等を踏まえ、道路の損壊、橋梁の滑落や損壊、崖崩れや建物倒壊・火災・津波浸水・津波による道路陥没・地盤の液状化等による車両通行阻害等を考慮した、より現実的なシミュレーションを実施し、その結果を公表してください。
3. 日本気象学会は、モニタリング実測値とスピーディによる放射能拡散予測を組み合わせ、住民の被ばくを最小限に抑える避難指示が出せるようにすべきだと提言しています。県もスピーディの活用をすべきとの立場ですが、具体的に国とこの件での話し合い状況を説明してください。私たちも被ばくすることなく事前避難するには、スピーディの活用が不可欠だと考えています。
またこの件では他県と共同で国に働きかけることが効果的だと思われます。この点、いかがお考えでしょうか。
4. UPZの避難基準、毎時500マイクロシーベルトは高濃度被ばくを前提にしています。被ばくしない段階での避難計画策定を要望します
福島第一原発震災のような重大事故が発生したら、整然とした段階的避難が可能でしょうか? 被ばくを恐れる若い世代の家庭は毎時500マイクロシーベルトまでじっと屋内待機するとは想定できません。
赤ちゃん・妊婦・幼児・高校生以下の子どもがいる家庭は被ばくせずに優先的避難できる計画にしてください。
そのあと、一般住民も被ばくせずに避難できるよう、国の定める原子力災害対策指針に規定されている運用上の介入レベル(OIL)を下げるよう、国に働きかけてください。
5. 子どもたちに安定ヨウ素剤を緊急に服用させる必要がある場合に対応できるよう、保育園・幼稚園・学校に安定ヨウ素剤を備蓄し、養護教諭などの職員が服用指導できる研修体制の整備を要望します
6. 愛犬・愛猫など、ペットは家族同然です。ペットや豚・牛などの家畜の避難はどのように考えておられますか。
7. 主な避難経路が7月21日に示されました。スクリーニングポイントの数、場所、施設名の確定時期はいつ頃ですか。現在候補に挙がっている場所・施設名があれば教えてください。各スクリーニングポイントを通過する予想車両台数・人数と、放射能測定及び除染に要する総時間予測を示してください。
8. 福島がそうであるように原発震災では、一時的な避難ではなく長期避難(移住)となります。長期避難に関する避難先との調整は県が行うのでしょうか。それとも避難自治体が行うのでしょうか。県は長期避難、戻れないこともありうると想定していますか。
9. 避難は原則自家用車となっていますが、渋滞や遠距離への避難も予想され、燃料不足で避難できなくなる、またガス欠車両が道をふさぐことも考えられ、燃料の確保が重要です。燃料の確保や供給体制について、県はどのようにお考えでしょうか。
10. 原発事故の複合災害では、家族が学校まで子どもを迎えに行くことができなくなることも予想されます。その際の対策(子どもをどこで家族に引き渡すのか、輸送手段など)を考慮されていますか。
私たちは子ども達が被ばくせず安全かつ混乱なく迅速に避難するには、行政が用意したバス等であらかじめ決められた避難先に避難する、そして保護者に引き渡す(アメリカではそのように決められている)方法を要望します。
11. 県の原子力災害広域避難計画の策定状況をホームページや広報などで見ることができるようにしてください。
提出に先立って、午後2時から県政記者室で記者会見を行った。

出席してくれたマスコミは、中日・東京新聞、静岡新聞、毎日新聞、読売新聞、静岡第一テレビの5社。 翌日報道してくれたのは、中日、静岡、毎日。第一テレビは知事公室にも取材に来てくれ、インタビューも受けたが、報道されたかどうかは確認していない。
今回のアクションはUPZ市民団体交流会から16名が参加。年内の回答を求めているので、回答の内容は12月末に報告できると思う。
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