12月25日、県庁危機管理センターにおいて、UPZ市民団体交流会が出した要望及び質問への回答があった。


県ネットのメーリングに投稿したものをコピーします。
広域避難計画に関わる要望及び質問書への県当局回答報告
県の回答全文は長いので、要点だけ報告します。全文を入手したい方は、1月16日御前崎市佐倉公民館で行われるUPZ市民団体交流会に来ていただければお渡しします。あるいは、1月24日もくせい会館で行われる県ネット全体交流会に来てください。
2015年10月30日
静岡県知事 川勝平太様
UPZ市民団体交流会
浜岡原発災害広域避難計画に関わる要望及び質問書(その3)
私たちが本年2月18日に提出した要望及び質問書に対し、3月27日に文書回答と質疑の時間をいただき、ありがとうございました。この回答並びに本年7月21日に公表された「浜岡地域原子力災害広域避難計画の策定状況」を検討した結果、再度の要望及び質問書を提出します。なお、これに関連する3つの資料を添付します。
12月25日までに、文書回答及び口頭補足説明も含む懇談の場を設定されるようお願いします。
1. 実効性ある避難計画(避難を強いられる住民や病院・福祉施設などが納得できるもの)が策定できなければ、再稼働は認められないと私たちは考えますが(島田・掛川市長は議会で、同様な見解を述べています)、知事はどのようにお考えでしょうか。
回答 (直接的な回答無し)「関係市町と連携し、計画内容を住民の方がたに丁寧に説明するとともに、具体的な避難マニュアルの策定や原子力防災訓練による検証などを通じ、実効性を高めていきます」
2. 広域避難シミュレーションを新しい状況に基づいて実施することを要望します
「浜岡地域原子力災害広域避難計画の策定状況」によると、原子力単独災害時の避難先は、牧之原市・吉田町・島田市・藤枝市・焼津市の5市町は川根本町、静岡市及びそれ以東の地域に避難することになっています。
また御前崎市・菊川市・掛川市・袋井市・磐田市の5市は、浜松市・湖西市及びそれ以西の地域に避難することになっています。
昨年4月に公表されたシミュレーションは、避難方向に関係なく31キロ圏外に自家用車で避難する場合の所要時間でした。新たに避難先の方向が明示されたのですから、新たな状況を踏まえたシミュレーションの実施を要望します。私たちは複合災害時のシミュレーションが大切だと考えています。
今後、複合災害時の各市町住民の避難先が確定した段階では、静岡県が実施した第4次大規模地震災害被害想定に用いた各メッシュごとの災害危険度情報等を踏まえ、道路の損壊、橋梁の滑落や損壊、崖崩れや建物倒壊・火災・津波浸水・津波による道路陥没・地盤の液状化等による車両通行阻害等を考慮した、より現実的なシミュレーションを実施し、その結果を公表してください。
回答 (実施するとは答えていない) 「(25年度の」シミュレーションから得られた知見もいかし、緊急輸送路等の整備や橋梁の耐震対策を進めるとともに、道路等の被害状況に応じて円滑な避難ができるよう、同報無線等に加え、スマートフォンや携帯電話を利用し避難指示や避難経路などの情報を住民に伝達するシステムの整備をすすめるなど、対応していきます。)
3. 日本気象学会は、モニタリング実測値とスピーディによる放射能拡散予測を組み合わせ、住民の被ばくを最小限に抑える避難指示が出せるようにすべきだと提言しています。県もスピーディの活用をすべきとの立場ですが、具体的に国とこの件での話し合い状況を説明してください。私たちも被ばくすることなく事前避難するには、スピーディの活用が不可欠だと考えています。
またこの件では他県と共同で国に働きかけることが効果的だと思われます。この点、いかがお考えでしょうか。
回答 「県としては、予測の有効性を認識しているところであり、SPEEDI等予測的手法の活用については、全国知事会等を通じて、他都道府県とともに国に要請をしていきます。」
4. UPZの避難基準、毎時500マイクロシーベルトは高濃度被ばくを前提にしています。被ばくしない段階での避難計画策定を要望します
福島第一原発震災のような重大事故が発生したら、整然とした段階的避難が可能でしょうか? 被ばくを恐れる若い世代の家庭は毎時500マイクロシーベルトまでじっと屋内待機するとは想定できません。
赤ちゃん・妊婦・幼児・高校生以下の子どもがいる家庭は被ばくせずに優先的避難できる計画にしてください。
そのあと、一般住民も被ばくせずに避難できるよう、国の定める原子力災害対策指針に規定されている運用上の介入レベル(OIL)を下げるよう、国に働きかけてください。
回答 (500マイクロシーベルトの高い基準の見直しの言及はなし。国の基準を追認)
「PAZにおいては、乳幼児、妊婦、高齢者等の要配慮者については、全住民に避難指示が出される全面緊急事態より前の段階である施設敷地緊急事態において、避難指示が出され、先行して避難していただくことになります。」
5. 子どもたちに安定ヨウ素剤を緊急に服用させる必要がある場合に対応できるよう、保育園・幼稚園・学校に安定ヨウ素剤を備蓄し、養護教諭などの職員が服用指導できる研修体制の整備を要望します
回答 (要望への応えは無し) 「児童生徒を安全かつ迅速に保護者に引き渡すこととしていますので、安定ヨウ素剤の服用は、保護者とともに国の指示により行うこととしています。」
6. 愛犬・愛猫など、ペットは家族同然です。ペットや豚・牛などの家畜の避難はどのように考えておられますか。
回答 「ペット等の避難については、考慮する必要があると考えており、避難先都県・市町村や関係団体の協力をいただきながら、検討していきます。」
7. 主な避難経路が7月21日に示されました。スクリーニングポイントの数、場所、施設名の確定時期はいつ頃ですか。現在候補に挙がっている場所・施設名があれば教えてください。各スクリーニングポイントを通過する予想車両台数・人数と、放射能測定及び除染に要する総時間予測を示してください。
回答 「 避難退域時検査場所(スクリーニングポイント)については、避難計画の対象人数や避難ルートを考慮し、UPZ外の東側、西側それぞれ5か所以上、計10か所以上の検査場を確保するべく、関係機関や関係市町等と協議をしているところであります。
また、短時間での放射能測定が可能となる車両用ゲートモニタや体表面汚染モニタ等の最新の測定器を活用するなど、実施体制の整備に努めていきます。」
8. 福島がそうであるように原発震災では、一時的な避難ではなく長期避難(移住)となります。長期避難に関する避難先との調整は県が行うのでしょうか。それとも避難自治体が行うのでしょうか。県は長期避難、戻れないこともありうると想定していますか。
回答 「避難先の都県・市町村には、避難者の受け入れ期間は、原則1か月程度を想定した受け入れをお願いしており、それ以降は、より広範囲での移転等について県、国により調整することとしています。
また、事故以降の福島第一原子力発電所周辺地域の状況から、住民の方々が長期間戻れないことはあり得ると考えています。」
9. 避難は原則自家用車となっていますが、渋滞や遠距離への避難も予想され、燃料不足で避難できなくなる、またガス欠車両が道をふさぐことも考えられ、燃料の確保が重要です。燃料の確保や供給体制について、県はどのようにお考えでしょうか。
回答 「燃料の確保体制については、国の支援や関係団体の協力を得て、体制整備に努めていきます。」
10. 原発事故の複合災害では、家族が学校まで子どもを迎えに行くことができなくなることも予想されます。その際の対策(子どもをどこで家族に引き渡すのか、輸送手段など)を考慮されていますか。
私たちは子ども達が被ばくせず安全かつ混乱なく迅速に避難するには、行政が用意したバス等であらかじめ決められた避難先に避難する、そして保護者に引き渡す(アメリカではそのように決められている)方法を要望します。
回答 「学校の避難については、現在、県関係部局で検討を進めているところであります。保護者への引渡しを原則とし、警戒事態や施設敷地緊急事態の段階で保護者への引き渡しを開始します。引き渡しができない児童生徒は、学校で教職員とともに屋内退避を行い、放射線の測定値により避難指示又は一時移転の指示が発出された後にも、引き渡しができなかった場合には、避難先で保護者等に引き渡すことも検討していきます。」
11. 県の原子力災害広域避難計画の策定状況をホームページや広報などで見ることができるようにしてください。
回答 「避難計画の策定にあたっては、市町原子力防災対策研究会や静岡県防災・原子力学術会議原子力分科会の公開の場での検討をしており、会議資料や検討内容については、県ホームページで公開していきます」
*県の回答の後、約1時間20分、我々側から質問や意見を出し、県当局との率直な意見交換をしました。その報告は、後日行いたいと考えています。なお、県側出席者は安全対策課から4名、教育委員会から1名、医療担当の課(保険厚生)から1名、計6名。
UPZから15名。三島から1名。県ネットの情報で来られたジャーナリスト(報道機関ではない)が1名。
マスコミは、中日・東京新聞、静岡新聞、毎日新聞、共同通信の4社でした。
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