自衛隊員が誤射で民間人を死傷させたら 政府・防衛省の対応
さきほど「自衛隊員が死んだら」と題して、その後の反応を考察したが、「自衛隊員の誤射で民間人を死傷させたら、政府・防衛省がどのような対応を取るか」も、僕たちは考えておく必要がある。
①責任問題
自分や保護者の危険が迫り、正当防衛?で相手を殺傷した場合、さらには流れ弾で民間人が死傷した場合、おそらく銃を撃った自衛官の責任は鋭く追及されないだろう。やむを得ないとして。
誤射の場合は複雑になる。国連と南スーダン政府が結んだ地位協定に基づき、PKO派遣国つまり日本が刑事裁判権を行使することになる。
日本は憲法上、軍法裁判を持っていない。一般の刑法で裁くことになる。しかし刑法には、国外での過失犯を処罰する規定がない。
過剰反応による誤射で外国人を殺傷させたとしても、罪に問われないことになる。これでは相手国(南スーダン政府)は、黙っていないだろう。当然処罰と補償を要求するだろう。
どうするのか? おそらく日本政府は金で解決するだろうが、自衛官の責任問題は闇に葬られる。
国会で、自衛官の責任を追及できるだろうか? おそらく世論の反発でできないだろう。やむを得ないと、うやむやにされるだろう。
②他国並に、軍法会議つまり軍事裁判を法制化する動きが強まる
自衛隊が海外でどんどん戦闘に参加すれば、色々な状況が発生する。自衛官が安心して任務にあたれるよう、日本も軍事裁判を持てるようにすべきだとの主張が、防衛省・政府さらにはエセ文化人・財界から起きてくるだろう。
PKO以外での戦闘参加で、外国人を殺傷した場合、その責任は外交政府の裁判で追及されることになる。しかし軍法会議(軍事裁判)を持っている国は、別である。その国が裁判権を持つ。
イラク・アフガニスタン・シリアで、米国・英国・ロシア・フランス・ドイツなどの軍隊が民間人を誤爆や誤射で殺傷してきたが(それは今も続いいている)、責任を問われたケースはない。民間人は、殺され損。家や財産を破壊されても、泣き寝入りだ。
日本の自衛隊もそうなるよう、軍事裁判権が持てるようにすべきとの圧力が高まるだろう。産経や読売新聞などは、社説でそうした論調を指示するだろう。
③憲法9条が邪魔キャンペーンが始まる
憲法上日本は軍隊を持っていない。自衛隊である。だから軍法会議制度はあり得ない。これでは自衛官が安心して任務が遂行できない、憲法9条そのものを変えるほかないとの論調が国会で、新聞紙上で、テレビ・雑誌で、強まるだろう。
安倍政権はここまで見通している。きちんとしたシナリオ(戦略)を持っている。他方、安保法制廃案・自衛隊海外派兵反対の国会議員・政党・市民団体は(つまり僕たちは)、これに対抗できるシナリオ(戦略)を持っているだろうか?
12月3日、静岡市で、全県的な9条を守る組織・安保法制を廃案にするための組織作りのための会合がある。
僕は大いに期待している。袋井憲法9条の会として、積極的に参加するつもりである。3日の会合では時間的な制約で、今朝ブログで書いた問題を討論する余裕が無いが、今後の重要課題として、参加する団体・個人が真剣に考える必要があると思っている。
« 南スーダンでもし自衛隊員が死んだら 日本社会の反応と政府・防衛省 | トップページ | 韓国の民主主義と日本の民主主義 »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 辺野古の今 その2 2018年4月(2018.04.19)
- 辺野古の今 その1 2018年4月(2018.04.15)
- 原発災害広域避難計画の策定は無理 絵に描いた餅(2018.03.28)
- 袋井市議会の内情 議会運営委員会(2018.03.22)
- 山城博治さんへの不当判決に抗議する(2018.03.16)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/586735/64554226
この記事へのトラックバック一覧です: 自衛隊員が誤射で民間人を死傷させたら 政府・防衛省の対応:
« 南スーダンでもし自衛隊員が死んだら 日本社会の反応と政府・防衛省 | トップページ | 韓国の民主主義と日本の民主主義 »
コメント