歴史の目撃者ーーーウクライナ戦争の実態は良くわからない 映像で・報道で見る戦争はごく一面
テレビで報道されるウクライナの被害の実態は、真実だと思う。ロシアが主張する{フェイク=うそ}ではない。国外に避難した500万人以上(数はそれ以上かも?)の人々の苦しい状況の映像も、真実だ。
僕たちは、世界中の人びとは、こうした映像・報道に毎日接して、ウクライナへの同情や、ロシア・プーチンへの怒り、我が家を追われ・生活仕事を奪われ・難民となっているウクライナの人たちに、何か支援をしたい、見過ごすことはできないと感じている。
しかし、ウクライナ戦争の実態を皆知っているわけではない。実際の戦闘場面に接するのは、双方の軍人・戦闘員だ。危険だから海外の報道関係者が現場に行くことは不可能。ウクライナ側の報道関係者は、従軍記者として戦場に入っているかもしれないが。戦線が拡大し、一つ一つの戦争現場を正確に目撃するのは、不可能に近い。
ウクライナ軍がどのように戦っているのかも、部分的な映像がちらりと流されるが、全体像は把握できない。まして、ロシア側の状況は良くわからない。破壊された戦車などの映像が流れ、アメリカ政府や軍の幹部から「ロシア軍は苦境にある。食料や燃料の補給もままならず、ロシア兵の戦意は落ちている。厭戦気分が広まっている。」とのコメントが流され、プーチンが当初考えた作戦がうまくいっていないのは事実だろう。
ロシア兵による略奪報道は、恐らく真実と思われる。日本軍もかつて中国の進軍する村々で、中国人の家々に押し入り、食料を奪い、豚や鶏を奪い、きれいな服など奪った。僕は徴兵で中国に派兵された父から、その実態を聞いている。日本軍の場合はそれが軍の作戦だった。兵隊は食料現地調達を命じられていた。ロシア兵の略奪の理由は、恐らく兵士の貧しさからと思われる。
ロシア兵による女性への性暴力の全体像は、良くわからない。 ウクライナ側の報道では、被害を受けた家族の証言もあり、被害があったのは事実と思われる。被害の数はわからないが、数の問題でなく戦争犯罪として、被害の実態を国際機関が調査し、国際刑事裁判所でロシア軍の責任者を処罰すべきだ。
ロシア兵による虐殺の実態は、これも国際機関が現地に入り、調査する必要がある。被害者の数や、どういう状況で起きたのか、軍司令官の命令で起きたのか、末端の兵士が戦場での異常な精神状態からむこの民多数を殺害したのか、正確な調査が待たれる。
虐殺とニュアンスが似ているが、一般の民衆(ウクライナの市民、武器を持たない人々)をロシア兵が殺害した報道も良く流れる。ロシア軍が撤退した街や村の住民の証言だ。僕は目撃者の証言はそのまま信じたい。侵略戦争では、ほぼすべての戦場で、ベトナム、イラク、アフガニスタンで、子どもや女性、老人も多数殺された。戦争だから兵隊・戦闘員同士の殺し合いはあるが、しかし捕虜になった兵は殺してはいけない。まして民間人を殺害することは、戦争犯罪になる。国連憲章にきちんと書かれている。
外国で戦争する兵士にとり、敵は相手側の兵士だけでない。民間人も自分を撃つかもしれない・敵軍に自分たちの居所を流すスパイと、恐怖感に襲われる。武器を持っていないのに、ちょっとした民間人の動作を自分を撃つ準備・攻撃する準備と錯覚して、やられる前に殺す、これはイラク・アフガニスタンに派兵された米軍兵士によくあったことだ。しかし彼らは戦争犯罪に問われることはなかった。
日本軍もかつて中国で同様な戦争犯罪を犯している。しかし、その罪は問われることなく、生きて帰れば時には英雄として、不幸にも命を落とせば英霊として、迎えられた。
映像で流されるアパートや家々の破壊、廃墟とかした街、燃える建物、道路の死体、水道や電気がなく薪で炊事する市民、マリウポリの製鉄所地下深くに避難している人々の映像を見るのはつらい。これが戦争だと、世界中の人々が心を痛めている。戦争反対・ロシア軍撤退・即時停戦を叫びたい!
しかし、この戦争は長く続く恐れがある。それを後押ししているのが、アメリカだ。アメリカ政府の圧力で、経済制裁だけでなく軍事支援をしているNATO諸国だ。次回は特に軍事支援の問題性について考察を深めたい。
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