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2022年5月 2日 (月)

歴史の目撃者ーーーウクライナへの軍事支援強化は戦争拡大・激化を招く

 アメリカを先頭にヨーロッパ各国は、ウクライナへの軍事支援をしている。最初は小火器(銃や弾薬)、戦車を破壊する兵器、ヘリや低空で攻撃する戦闘機を打ち落とす防御的な兵器などだった。日本は防弾チョッキや防毒マスクを支援した。

 ところが3月下旬から4月にかけて、戦車や装甲車両、射程が長い大砲(米軍が使用しているりゅう弾砲)、ドイツが開発した走行しながら戦闘機を打ち落とせる対空砲車両など、より攻撃的な、つまりロシア軍をせん滅できる強力な武器を支援するようになっている。

 これは戦争の激化=双方の死傷者の増大=ウクライナの都市や街、村の破壊=避難民の増大を招くのは明らかだ。ロシイア・プーチンは、欧米の軍事支援に反発し、さらなる破壊的兵器の使用も検討していると警告している。

 軍事力で事態を打開するのは、戦争で勝つほかない。ロシア側は占領地区を拡大し、それを固定化し、ロシア化を進める。既成事実を積み上げ、停戦交渉を有利に図る戦略だ。

 ウクライナの大統領ゼレンスキー氏は、徹底抗戦を国民に呼びかけ、世界にさらなる軍事支援を要請している。しかし軍事大国ロシアに戦争で勝利するのは不可能だ。領土からロシア軍を追い出す戦略だが、一方的に独立宣言させた地域からロシア軍を撤退させるのは、そう簡単ではない。ロシア支配地域にウクライナ軍が本格的に攻撃する事態になれば、プーチンは核兵器を使うかもしれない。戦略爆撃機で無差別空爆に踏み切るかもしれない。双方、引くに引けない泥沼戦争になる恐れがある。

 こうした最悪の事態を密かに喜ぶのは、アメリカ、イギリス、フランスなどの軍需産業だ。市の商人たちだ。そして実はアメリカ政府と米軍だ。

米軍の最高責任者は、公然と「ロシアの弱体化」を言い始めた。それを受けて、バイデン大統領は、日本円にして4兆3000億円のウクライナ長期支援のための追加予算を議会に要請した。

 アメリカ政府はすでに1兆8000億円をウクライナに支援している。報道によると、追加軍事支援204億ドルは、2021年度ロシア軍事費の三分の一に相当する。

 アメリカの戦略を僕はこう見ている。ウクライナ戦争を利用して、ロシア軍を弱体化させる。ロシア経済を弱体化させる。プーチンを大統領の座から引きずり落とす。ロシア国民が反プーチンのデモで大統領辞任に追い込むまで、戦争を継続する。それまでは高くつくがウクライナへの軍事的、経済的支援を続ける。いわば代理戦争として位置づける。

 国連は時に利用するが、安保理拒否権は手放しはしない。ロシアが拒否権を行使して、停戦・撤退に応じなくても、かまわない。国連改革などみじんも考えていない。

 イラク・アフガン戦争で使った有志連合、具体的にはNATO諸国や日本、韓国などを巻き込み、アメリカの世界戦略のために、徹底的にウクライナ戦争を利用する。つまり自国のためだ。

 この戦略に基づいた情報戦略が、宇宙空間から手に手を取るようにロシア軍の動きを監視し、それをウクライナ軍に提供している。アメリカが提供する攻撃的兵器の精度を高めるため、すでにそれは戦闘で活かされている。

 テレビや新聞、週刊誌、スマホで流され報道される映像・写真なども、アメリカが提供している場合が多い。ウクライナからのフェイスブック投稿映像なども、アメリカが支援している。ゼレンスキー大統領が実に効果的に記者会見をしてその映像が世界に発信され続けているが、これもアメリカの民間企業が支援している。記者会見の場所が破壊された街であったり、薄暗い場所であったり、服装も庶民的なTシャツなど大統領に見えない服装をいつもしているのも、戦時大統領のイメージを世界に植え付ける戦略からだ。

 毎日繰り返し繰り返し、ウクライナの被害、避難民の涙・悲しみ、破壊された建物、ロシア軍の残忍さを示す証拠映像や写真が、世界中に提供されている。これも軍事支援の正当化や、ロシアを弱体化させる戦略の一環だ。

 実に巧妙である。人道的支援や平和を本当に考えるなら、これ以上死傷者を出さない、戦闘を戦線を拡大させない、ウクライナの国土をもうこれ以上破壊させない、避難民をもうこれ以上出さない、停戦を呼びかけるのが大切だと思う。しかしアメリカがそうしないのは、最初に指摘したようにアメリカの本音は別のところにあるからだ!

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