022年11月議会議第75号副市長定数条例の一部改正について 反対討論原稿 竹野昇
私は以下9つの理由で、副市長を2人に増やす条例改正案に反対です。①財政の問題と市民の税金をどう使うかの観点から。30日の議案質疑で財政課の答弁により、副市長を2人にした場合、約1200万円経費増になることが分かりました。財政難の袋井市にとり、これまで1名で足りてきたのに、副市長を2人にするほどの贅沢な財政的ゆとりがなく、また貴重な市民の税金は市民のために使うべきだと思います。
具体的に例を挙げて市民のために使ってもらいたい項目を述べます。この11月議会、代表質問・一般質問でも取り上げられましたが、水害対策の河川改修、自治会要望に対応できる十分な予算,市道の維持管理、公園にインクルーシブ遊具の設置、道路愛護活動に対する相応の謝礼増額、私が取り上げた災害見舞金の増額などなど、市民のために役立つ分野にこの1200万円は使うべきです。1200万円があればと仮定して、災害見舞金増額の試算をしてみました。床上浸水被害に対し5万円の見舞金を今回被害を受けられた105世帯に出した場合、その経費は525万円です。床下浸水被害に対し2万円の見舞金を出した場合、今回は187件ですから、374万円となります。合わせて899万円。301万円足して1200万円ですから、インクルーシブ遊具の設置や道路愛護活動への謝礼増額にも対応できます。毎年、1200万円も貴重な税金を副市長増員に使うよりも、直接市民に喜んでいただける分野に使ったほうが、はるかに意義ある税金の使い方だと思います。
②人材に投資は副市長でなく、市職員にすべきだと考えます。市長は30日、私の質疑への答弁で、人材への投資と言われましたが、同じ副市長が10年以上市に在籍することはないだろうと思います。しかし一般職員は定年まで袋井市のために働いてくれます。市職員が大学や研究機関、先進自治体、海外で学びを深める研修費の増額、職員研修中欠員が生じるのを穴埋めする人件費増額こそ、人材への投資にふさわしい税金の使い方だと考えます。
③広域連携は、市長と1名の副市長、そして市職員で十分やれます。大場市長は30日私の質疑に対する答弁で2人にした場合、内部と対外部門に役割分担させる構想を話されました。しかし、私は対外的な折衝専門の副市長がいなくても、広域連携は十分できると考えます。他市、例えば磐田市は人口規模が袋井市の約2倍16万人ですが、副市長1名です。磐田市が副市長1名だから広域連携が十分図れないと、そのような話は聞いたことがありません。実は磐田市当局に電話で今後副市長を2名にする計画があるのか問い合わせました。増員の予定はないとの返事でした。
対外的には市長が袋井市の顔であり、他市町との広域連携は市長が相手側のトップに話を持ち掛け、細部実務面の詰めは、市職員がその任に当たるのが普通のやり方だと思います。従って広域連携において、副市長を2名にする必要性はないと思われます。
④国・県との連携及び予算獲得の面での理由についてですが、副市長を増やさなくてもできます。自治体のトップである市長が予算増額のため、必要に応じ国・県に自ら出向き、要請したほうが相手側に市の熱意が伝わると思います。また袋井市は国や県と人事交流を図っており、こうした人脈を通して国や県との連携・パイプを太くすることができます。
⑤ウクライナ戦争や円安の影響により、諸物価がどんどん値上げされていますが、実質収入(給料・年金など)が伸びず、市民の生活が苦しくなっている現状で、市民感情からも副市長を増やす案は賛同しかねます。
私は地域の人々や知人にこの問題を伝えていますが、少なくとも私が直接話した全ての人は、「副市長は2人もいらない。反対だ。市長は何を考えているのだ。市民のために、税金を使うべきだ」と、言っています。中には、市長選で大場さんに期待して投票したが、次の選挙では応援できないと、怒っている人もいます。
庶民の生活は、燃料費、電気代、食料品などあらゆるものが値上げされ、本当に厳しく苦しい状況になっています。来年度もさらに値上げが目白押しです。生活を切り詰めざるを得ない市民にとり、年収1200万円の副市長を2人にするのは到底納得できるものではありません。
⑥大場市長は、新東名森インターから袋井までの道路建設を加速させるために副市長を増やしたい旨の答弁をされましたが、この道路建設の話はすでに既定路線としてあり、先日議員のタブレットに、やらまいか通信340号が発行され、袋井市・森町・県が都市計画道路「森町袋井インター通り線」整備方針の覚書を交わしたことが書かれています。この問題で副市長を増やす必要性がないのは明らかです。
⑦市長は30日の質疑で、「ここにおられます幹部職員が市長を補佐し、政策提案・アドバイスをする、広域連携なども既存の人材でやれるのでは」との私の再質問に対し、「現在の人材でも対応できるが、、、、、、」と答弁されました。その通りです。既存の人材を有効に活用する、これが組織のトップの仕事だと確信します。
私は昨年4月の市長選で大場規之さんに期待し、応援しました。今回、市長提案の議案に反対ですが、今も袋井市政刷新のため、大場市長に期待し、大いにその力を発揮してもらいたいと思っています。恐らくこの人はと期待する副市長候補がおられるのかもしれませんが、自らのリーダーシップで現在の幹部職員を起用して市政刷新を図ってもらいたいと思います。
⑧11月30日の市長の説明は説得力に欠けると思います。副市長を2人にして、袋井市のステージを引き上げるとも話されましたが、抽象的でその内容がよく分かりません。市長の条例改正提案理由は、あいまいさが多く、賛同できません。
⑨人口8万8000人規模の自治体に副市長が2人も必要なのか、極めて疑問です。私は元湖西市長・三上元さん(彼は市長を2期務め、その後市議になっている異色の経歴の持ち主です)彼とは脱原発・自然エネルギー推進静岡議員の会のつながりで親しい関係なので、三上さんに副市長が2人も必要かを問い合わせました。「一人で十分。人口規模が20万人以上なら必要かもしれないが、それ以下の自治体は市長と副市長1人で対外的・体内的にも十分やっていける。」と経験に基づく答をいただきました。
人口規模が袋井市とほぼ同じ御殿場市に問い合わせました。「定員は2人だが現在は欠員1である。市職員の経験豊富な人物が実質的に副市長と同じような働きをして市長を補佐している。三島市は人口がうちとは多いが、1人ですよ。」と私が尋ねもしない三島市の例まであげ、いかにも副市長は1人で十分だと言わんばかりの答えでした。三島市は人口が11万人です。
人口9万8000人の島田市・11万7000人の掛川市・13万の富士宮市・13万9000人の焼津市・14万5000人の藤枝市・19万6000人の沼津市は副市長が2人いますが、いずれも人口が袋井市よりも多いです。無理に背伸びしなくてもよいと思います。
なお、袋井市規模の自治体で副市長が2人も必要かどうか、一時期2人にしたこともある原田ひでゆき氏にご意見を伺おうと電話しました。原田さんは、「2人にした理由や1人に戻した経過は議会議事録に記録されている。竹野君への問い合わせに対し、自分としての答えは、議事録に書かれているのが全てです。」、ということでした。
原田さんの副市長2人制に関する個人的な見解をお聞きしたかったのですが、恐らく自分の意見表明が議会の採決に大きな影響を与えるかもしれない、後任の大場市長に迷惑をかけたくないとの配慮から、それ以上は話してくれませんでした。
議事録を調べました。あまりにも簡単な記述しかないので、議会便りも検索しました。平成21年6月議会に副市長を2人にする条例改正案が出されています。理由は、「新病院の建設を始めとして、長面する課題に対するより高度な判断と積極的な施策展開ができる強力な推進体制の確立を目的として定数を2名に改正する」とあり、可決されたことが記録されています。平成25年6月議会には、「現副市長の任期の満了をもって2人制から1人制へ改める」目的の議案が出され、議事録には、ただそれまでのお二人の名前と1人に戻すため新たに任命する方の名前しか書かれていません。平成25年以降今日まで9年間、袋井市は1人制でやってこれました。
これは私の推測ですが、原田さんは新病院建設と袋井駅舎立て替えの大きな事業を進めるうえで2人が必要と判断したが、通常は1人の副市長で十分とのお考えだったのでないかと思います。
現在、袋井市は数十億円も必要とする新たな大きな事業案件はありません。袋井駅南地区の水害対策柳原ポンプ場新設は64億円必要ですが、この事業案件はすでに計画が策定され、具体化が進行しつつあります。現在の体制で十分事業展開が可能です。
冷静に総合的に副市長を2人にしなければならないかどうか考えると、その必要はないと思います。
以上の理由で私は袋井市に2名の副市長を置くこの条例改正議案に反対です。
議第66号一般会計補正予算にやむを得ず反対します。 討論原稿 竹野昇
反対の理由は2つあります。1つは、この補正予算の中に、副市長を2人にする給与費が含まれているから。2つ目は、この補正予算の説明に際して副市長を2人制にするための人件費増の説明が全くなされず、当局の議会・市民に対する説明責任が果たされていなかった点です。
私は以上2点を除くその他の点、つまり補正予算99%に対しては、賛成です。今回の補正予算は国からの交付金に対応する補正、具体的には電力・ガス・食料品等価格高騰対策や災害復旧費及び期末勤勉手当増額に伴う給与費改定が大半であり、私はこれらに反対するわけではありません。
副市長を2人制にする反対の理由は、この後、議第75号副市長定数条例の一部改正に反対する討論で詳細に述べます。副市長を増員することにより、特別職給料増額82万3000円が補正予算の中に含まれていることが、後になり判明し、ここで反対しないと、論理的に整合性が取れないから、反対します。
次に2つ目の理由、説明責任が果たされていなかった点ですが、私は11月議会に出されたこの補正予算案に問題点がないか、相当時間が費やして調べました。給与費に関してたくさん疑問点が出たので、質疑通告書を出したのですが、当局の質疑に関するヒヤリングで疑問点が解消したので、取り下げています。
しかし、見抜くことができなかったのは、副市長を増員することによる2月24日から3月末までの特別職給与費増額82万3000円です。補正予算(第7号)説明書は、タブレット066-01議第66号補足資料①を開いてください。説明書最後の箇所、ページ24、給与費明細書、1特別職、下段、比較の項目、長等の欄に82万3000円が記載されています。私はこれは市長・現副市長の期末手当改定に伴うものだと認識し、特に問題だとは思わなかったので、12月5日の民生文教委員会では、議第66号補正予算に対し、賛成しました。
しかし後日、総務委員会において当局がこの82万3000円が副市長増員分であることを説明したと聞き、直ぐ、財政課に問い合わせたところ、総務課が所管だからという理由で総務課から説明があり、事実を知ったわけです。この時担当者から、今皆さん方が見ておられる補正予算書ページ4,歳出2款、総務費、右側の説明欄、職員給与費、2給料、10一般職、2,588万円の中に、この特別職副市長増員に対応する82万3000円が含まれているとの説明も受けました。
説明を受けて初めてこれは問題だと判断し、反対討論の追加通告書を出した訳です。副市長増員に対応するこの82万3000円に関しては、市職員の大半も知らなかったと思います。総務委員会に所属する議員の皆様がたも、説明を受けるまでは分からなかったのではないかと想像します。
税金の使われかたは、正確な情報を当局が開示し、その妥当性を議会がチェックする、そして議会で問題点を議論し、その内容が一般市民に開示される、これが民主主義だと考えます。11月21日本会議において当局側から職員給与費増額の説明が極めて不十分であったことを指摘し、今後このようなことがないよう、説明責任を果たすことを求めて、反対討論を終えます。
*熱弁を振るったが、賛成多数(正確には反対2名、他の議員全員賛成)で可決。造反議員がいるかと期待したが、勇気を出して反対に回る議員はいなかった。共産党の竹村真弓さんと僕だけしか明確に自分の意見を表明しないのは寂しいです。
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