法政大学前総長田中優子さんの「視座 守ってやるぞ詐欺」を読んで
中日新聞4月30日朝刊「視座」に、田中優子さんの文章が掲載されている。僕はこの「視座」を読むのを楽しみにしている。執筆者は変わる。昨年袋井市で講演していただいた、池内了さんの文章と田中優子さんの文章は、特に毎回注目して読んでいる。
今回のタイトル「守ってやるぞ詐欺」は刺激的なタイトルだ。田中優子さんの文章を要約する。言葉の由来。政治思想史専門の岡野八代さんが、チャールズ・テイリーの「プロテクションラケット」(守りの恐喝)を、「守ってやるぞ詐欺」と訳したとのこと。
政府が市民を守ろうとしている脅威が架空のものであったり、実際には政府の活動が引き起こした結果であったりするならば、それは「守ってやる詐欺」になる。「多くの政府が本質的にゆすり屋と同じことを行っている」 「自分で脅威を作り出し、その脅威を減じてやるから金を出せ」という態度だと、チャールズティリーが近代国家成立の歴史の中で言っている。
この国家権力の本質を言葉の紹介を通し、読者つまり僕たちに詐欺にかからないように警告されているのが、今日の「視座」の趣旨だと僕は理解した。
ここから、この記事にヒント・触発された僕の考えを述べます。アメリカは「日本を守ってやる。その為に、日本国内どの空港・港も自由に使わせろ」と要求。米軍基地内は日本の主権が及ばない。米兵の犯罪も日本の裁判所が、米軍の同意・許可がない限り裁くことができない。日本政府・地方自治体が、環境汚染問題などで基地内立ち入り調査も、米軍の同意がない限り不可能。沖縄で大問題となっている夜間訓練に伴う爆音問題も、「お前らを守ってやっているのだから我慢しろ」との態度だ。墜落したヘリや飛行機も、日本の警察・消防が現場検証できない。
治外法権・無法・やりたい放題も、全て「日本を守ってやっているぞ詐欺」だ。住民・日本国民は、アメリカ軍に本当に守ってもらっているのだろうか? この詐欺を許しているのが、日本政府とこの政権を支えている与党=自民・公明党だ。
では日本政府・特に戦前の軍部はどうか。沖縄戦では、日本軍は住民を守らなかった。時には沖縄県民をスパイとして処刑した。関東軍は満州において、ソ連軍が満州に侵攻してくると、満蒙開拓団の住民を置き去りにして、真っ先に逃げた。
岸田政権は、中国の脅威・北朝鮮の脅威をあおり、特に沖縄の人々に対し、「守ってやるぞ詐欺」の手法を使っている。与那国島・宮古島・石垣島など南西諸島の離島に、中国軍が上陸・占拠するかもしれない。北朝鮮のミサイルが沖縄に落下するかもしれない。
沖縄県民を守るため・日本を守るために、敵の艦船やミサイル発射基地・相手側の司令部を破壊攻撃出る能力を持った反撃能力が必要だ。占拠された島を奪い返す専門部隊が必要だ。そのためにはお金が必要。国防費を5年後には、GDPの2%、約11兆円にする。5年間で防衛費を43兆円まで積み上げ、必要な装備・部隊・敵基地攻撃能力を整備する。
今、沖縄が戦争準備のため要塞基地化しつつある。ミサイル部隊やPAC3などが配備された島々は、いざ戦争になった真っ先に攻撃される。沖縄本島の嘉手納基地や普天間基地その他全ての米軍基地及び自衛隊基地が標的になる。
沖縄県民を不安にさせ、危険にさらしているのは、「政府による守ってやるぞ詐欺」だ。沖縄戦で、日本軍がいない島々は米軍から攻撃されなかった。沖縄の人々は歴史から学んでいる。軍隊があるからかえって危険であり、軍隊は住民を守らいないことを良く知っている。
北朝鮮のミサイル開発・アメリカに届く弾道ミサイル実験は、日本を標的にしていない。日本の上空を飛び越えることがあっても、日本国内に落下したことは一度もない。今回の岸田政権のPAC3配備は、あまりにも過剰反応。恐怖を沖縄住民に植え付ける目的だと僕は見ている。
「守ってやるぞ詐欺」に引っかからないように、政府及びそれを垂れ流してるマスコミ報道に騙されないように、自分でしっかり考え、情報を集め、本当の主権者になれるように互いに努力・勉強しましょう!
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