農業体験農園 農を楽しむ・親しみを感じる多世代の人々向けにぴったり 耕作放棄地解消・食料自給率アープにも貢献
28日早朝の畑仕事を終え朝食休憩を取ってから、袋井市北部の夢未来みどり塾「農業体験農園」を見学してきた。10年前に、中部農林事務所を退職された藤田忠男さんが開設した農園だ。
藤田さんは元農業振興部長。退職した時、自宅前の土地が耕作されずに放置されていた。自分は現職の時は忙しく、親任せだった。時間の余裕ができ、現職の頃視察した練馬区の農業体験農園を自分の耕作放棄地解消と農業に親しむ人を増やしたい、自分の農業技術を全く農業をやったことがない人々に教えることを、第2の人生の生き甲斐にしたいと、退職金を投資して始められた。
中日新聞に藤田さんの体験農園が紹介されるまでは、恥ずかしながら「農業体験農園」について全く無知だった。みどり塾のことも知らなかった。お話を聞いて、これは袋井市だけでなく、全国の耕作放棄地解消=農業で地域おこし=農業に関心を持つ多世代の人を増やし、小規模農業を楽しむ・従事する人を増やす=その過程で本気で職業として農業を起業する若い世代や親が持つ田んぼや畑を耕し、退職したら農業を第2の人生に選ぶ人を増やす=その結果、日本の食料自給率を向上させる=農業政策を実践から変えさせることが可能になると思った。
上の写真の白い建物が農機具などを保管する倉庫。軽トラの左がみどり塾。ここで藤田さんが塾生に講義やお話、農業指導をする。3000平方メートルの農地が広がっている。
農業体験希望者の畑。看板が可愛い。プロの指導で栽培しているから、いい作物に育っている。市民農園と体験農園の違いを教えてもらった。
一般に全国どこでも市民農園はある。行政が開設する市民農園と農家が個人的に始める市民農園の2種類。農地を所有する地権者は市民農園を始めると利用料の収入が入る。都会地区では駐車場利用料も収入とみなされ、農地の固定資産税とは別に所得税も加算される。親からその土地を相続する場合、相続税もかかる。
ところが体験農園だと、利用者は農地を借りているのでなく農業体験をしていると解釈され、農園主が農地として活用し続けるため親からその土地を相続する際、納税猶予が受けられる利点がある。また体験農園開設にあたって、行政から補助金を得られる地域もある。
東京都練馬悪は都会の緑を残すために、農家の相続税負担を軽減し、農地として残す手法として、1種の農業経営形態として始めたそうだ。袋井市のような地方都市では、農地の固定資産税は極めて安く、相続税も都会に比べると低い。しかし節税対策や、自分では広い農地を耕す・管理することができないが、農業体験者が利用している区画の農地を愛着を込めてきれいにしてくれるので、助かる!!!
農業は教育やストレス発散にも良い。実際に藤田さんの農園には、子ども連れの若い世代も来ている。農具や肥料など全てを藤田さんが用意してくれるので、利用者はピクニック気分で来る。子どもたちは青空の下で土いじりに夢中になり大喜び。親も職場のストレスや家庭のストレス?も解消できる。
藤田さんはまだ70歳なので、利用者が忙しくて水やりや草取りなどに来れないときには、自分が代わりに管理する。植え付ける前の耕す作業も藤田さんがトラクターでやる。指導を含め、ここまでやれる農家は少ないと思うが、専業農家で年を取り耕作が出来なくなっても、農地を荒らさないために体験農園という手法で農業を続けることが可能になる。
体験農園でも、色々なやり方がありうる。藤田さんのように丁寧親切にやらなくても、利用する条件に草取りや水やりなどは利用者がやることにしておけば、体験農園開設農家は助かる。農機具は無料で貸すが耕やすのは利用者さんにやってもらったらよい。専業農家として長年農業をやってきた人は、だれでも素人に農業指導はできる。口で指導すればよい。利用者も色々な人がおり、市民農園感覚で体験農園を利用する人もいるだろう。広い農地を利用したい人もいる。市民農園は狭い。定年退職して例えば50ないし100坪ぐらいの農地を借りて、自分たち夫婦が食べるものを自分の手で作りたい人は相当数いるはず。都会から移住したい人の受け皿にもなる。
市民農園は利用者が区画の農地を耕し、肥料も自分で購入する。作り方も自己流。上手に栽培するには、自分で勉強して努力もいる。従って若い世代にはハードルが高く、利用者のほとんどが定年退職者。
市民農園だけでなく、体験農園を増やすことで、農家と利用者のマッチング=組あわせを工夫さえすれば、日本の農業形態が変わるかもしれない。農業に希望を見出せる。
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