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2024年12月20日 (金)

公共施設使用料や市の証明書発行手数料値上げに反対 袋井市議会最終日 反対討論

 今日12月20日、袋井市議会で下記の反対討論をしました。

12月20日 反対討論原稿                         竹野昇

 議第67号袋井市コミュニティセンター条例の一部改正について、議題68号袋井市コミュニティ施設条例の一部改正について、議題69号袋井市宇刈いきいきセンター条例の一部改正について、議題70号袋井市手数料条例の一部改正について、議題72号袋井市老人福祉センター条例の一部改正について、議題73号袋井市運動施設条例の一部改正について、議題74号袋井市風見の丘条例の一部改正について、議題75号袋井市労働者福祉センター条例の一部改正について、議題76号袋井市墓地条例の一部改正について、議題77号袋井市水道事業給水条例の一部改正について、議題79号袋井市都市公園条例の一部改正について、議題80号袋井市月見の里学遊館条例の一部改正について、議題81号袋井市メロープラザ条例の一部改正について、以上13の議案に反対の立場から討論します。

 具体的な反対の論拠を述べる前に、先ず私の考えや思いを述べます。これら13の議案は全て、手数料、利用料、使用料の値上げを含んでいます。諸物価高騰、生活や事業の継続が厳しい時代に、これらの値上げ条例案に賛成、可決することは、市民のためにならないと思います。文化・芸術・スポーツ・健康・趣味など、色々な分野で活動する団体・サークル・個人・法人は、今回の値上げにより大きなマイナスの影響を受けます。当局の改正の趣旨【受益者負担の原則・公平性の確保・原価算定方式による明確な料金算定の観点、3年ごとの使用料手数料の定期見直しを実施、その結果に基づき所用の改正を行う】を認めると、値上げは今回だけでなく、繰り返し行われる恐れが高く、市民に寄り添う立場から、到底容認できません。

 さらにこうした値上げラッシュが、第3次袋井市総合計画基本構想素案に書かれているキーワード「誰もが笑顔で自分らしく輝けるまちの実現」、「住み続けたいと思える魅力あふれるまちの実現」にそぐわない、足をひっぱると考えます。

 個々の議案の具体的な問題点は後で述べますが、ほとんど全ての議案の改正の趣旨に、「受益者負担の原則・公平性の確保・原価算定方式による明確な料金算定の観点から、3年ごとの使用料・手数料の定期見直しを実施し、その結果に基づき所用の改正を行う」と記載されています。

 私はこの3つの観点は、公共施設に当てはまらない、市民・事業者らの税金で維持管理される施設の利用料は公共の福祉という大きな観点から考えるべきで、市民サービスが本来業務である自治体が手数料値上げに民間の論理を持ち出すのは間違っていると思います。

 分かりやすく3つの観点の問題性を1つ1つ述べます。先ず受益者負担の原則について。

税金で成り立つ公共自治体=袋井市当局のサービスや施設の受益者は、全ての市民や事業者です。受益者負担の原則にあてはまらない施設は沢山あります。

 市内3つの図書館がそうです。よく利用するから受益者負担とはなっていませんね。市内全ての公園も誰でも利用でき、無料です。子どもたちの遊具がたくさんある、みつかわ夢の丘公園、豊沢の丘公園、愛野公園西側ゾーン、また中央子育て支援センター「カンガルーのぽっけ」やメロープラザ内の親子交流広場も、利用する人が受益者だから有料にするとの考えを、袋井市は取っていません。

 これは文化の向上や市民の幸せ、子育ては、袋井市全体で支える、そのための環境整備は市当局の仕事であると認識しているからです。

 次に2つめの観点「公平性の確保」についてですが、財政課に公平性について問い合わせました。利用する人と利用しない人との公平性との説明でした。

 この論理の矛盾・おかしさは、先ほど受益者負担の所で具体的な施設名を挙げて説明しましたが、図書館や公園、子育て施設を例に挙げると、公平性を持ち出すおかしさは明瞭です。

 私も時々袋井図書館に行きますが、新聞・雑誌コーナーの利用者は退職された方が多いです。閲覧席は土日曜日、平日の放課後は学生が良く利用しています。絵本や児童書のコーナーは若い世代と子どもたちです。本を借りる人は読書好きのリピーターが多いです。

 袋井市民の中には図書館を全く利用しない方もたくさんおられます。しかし利用しない方が、良く利用する人たち対して、不公平だ、利用料を取るべきだと言う人はいません。

 子育て施設も同様です。色々な事情でお子さん・お孫さんがおられない市民がいますが、自分たちは全く使わないのだからいつも利用する人たちは無料なのはおかしい、公平の原則に反すると苦情を言う人はいません。

 有料の施設でも、実際には使わない、鑑賞や見物にもいかない人が少なからずいます。しかし利用しない人がよく利用する人たちに対し、利用料が安すぎると不公平感を持つことはないでしょう。

 公平性が問題になるのは、特定の団体・個人が独占的に施設を利用し、他団体や個人が利用しにくい場合です。しかしこれは管理者が間に入り、話し合えば、解決できます。

 3つ目の観点・原価算定方式による明確な料金算定について、財政課に原価の中身を問いました。維持管理費、その中には人件費も含むとのことでした。

 営利を目的とする企業や民間団体による施設なら、土地代・建設費・人件費、維持管理費などを原価に含め、利用料・使用料から原価を回収するのは理解できます。しかし、公共施設にこの論理を持ち出すのは間違っています。人件費は全て税金で賄われます。維持管理を民間委託する場合でも、委託料は税金で賄われます。

 公共施設の利用料・使用料に、原価算定方式を取り入れるのは、やめるべきです。国道、県道、市道、橋の建設費・維持管理費には莫大な費用を要します。しかし、全て無料です。国民・県民・市民の便益のため、税金で作られ維持管理される道路や橋は、公共福祉として、原価算定方式を取らずに無料なのです。

 以上の基本的な考えに基づき、13もの議案すべてに私は反対です。

 次に個々の議案の問題点を取り上げます。67号コミュニティセンター条例の一部改正案に、南コミュニティセンターの施設名と値上げ額が出ています。全て午後半日の時間帯ですが、ホール1100円が1650円に、会議室660円が990円に、研修室660円が990円と、現行の値段の半額が上乗せされています。値上げ率1.5倍です。中央ホールは、11,000円が14,300円と3300円の値上げです。中央ホールは袋井市のほぼ真ん中に位置し、交通の便も良いので、利用する団体は多いです。12月は市内幼稚園保育園のクリスマスイベントでよく使われていますが、園の関係者は値上げが実施されると困るだろうと思います。カラオケの民間団体も良く利用されていますが、負担増に頭を抱えるかもしれません。

 地域の登録団体の会議室や小ホールの利用料は減免でこれまで通り無料ですが、登録団体でない

グループや団体、友人たちと使う人たち、例えばキッズダンスの練習や社会問題の講演会学習会などの利用者には、頭が痛いです。

 68号コミュニティー施設条例の一部改正案にテニスコート利用料が2時間単位で440円が660円と値上げ率1.5倍になっています。学校の部活で利用する場合は減免措置がありますが、部活仲間の友人たちと、もっと上手になりたいと利用している中学生たちにとり、値上げはつらいと思います。

 68号条例案には具値的な施設名が書かれていませんが、みつかわコミュニティセンターです。館のスタッフにテニスコート以外の施設での、若者たちの利用状況を聞きました。ホールに卓球台があり個人で使う場合はホール使用料が発生するそうです。吹奏楽器の練習やバンド演奏グループがホールで練習する際も、大きな影響を受けます。

 67号コミュニティセンター条例の一部改正案は、南コミュニティセンターの具体例しか出ていませんが、値上げが市内全てのコミュニティセンターにも適応されます。

 あるコミセンでは、小中学生がホールをスポーツやクラッシクバレーの練習でよく利用するそうですが、減免対象でなく、大きな影響を受けるだろうと言っていました。

 またあるコミセンでは、中国語や韓国語講座、楽器演奏で会議室を利用する場合、文化協会に登録してある団体は減免措置があるが、そうでない場合は、値上げの影響ありと言っていました。

 議第69号袋井市宇刈いきいきセンター条例の一部改正により、大きな影響を受けるのは、白雲荘の閉鎖でカラオケの練習のため宇刈の多目的ホールを利用しているシニアの方たちです。午前の利用料880円が1,290円に、午後1,100円が1600円にいずれも半額近く値上げになります。

 70号手数料条例の一部改正案は、ほとんどの市民に関係します。印鑑証明、住民票・戸籍証明、納税・課税証明などの手数料300円が350円に値上げされる内容です。50円と値上げ幅が小さいですが、これまで一度も値上げされたことがありません。最も基本的な住民サービスだからです。手数料条例改正案に私が強く反対するのは、住民サービスの切り下げにつながるからです。

 72号老人福祉センター条例の一部改正案は、白雲荘のことでなく、笠原老人福祉センターの集会室550円が午後なら910円と半額以上も値上げになり、高齢者福祉サービスの低下につながります。

73号運動施設条例の一部改正案は、たくさんの施設に関係します。総合体育館、袋井体育センター、浅羽体育センター、BG海洋センター、愛野公園内運動施設(野球場・弓道場)、浅羽球技場、堀越公園多目的広場、愛野公園テニスコート、浅羽テニスコート、と幅広いです。スポーツ協会や学校・部活動が使用する場合は減免措置がありますが、そうでない団体やグループ・個人利用者は、軒並み影響を受けます。

 74号風見の丘条例の一部改正案ですが、個人でプールを利用すると現在620円が860円となります。65歳以上または高校生以下は310円が430円に値上げされます。クリーンセンターの焼却熱で温水となるプールです。市民の健康促進のため安価な料金であるべきです。

議題75号袋井市労働者福祉センター条例の一部改正が可決されると、勤労者福祉の施設としてこれまで一度も値上げされたことが無いにもかかわらず、当局の言う3つの観点から値上げされることになり、施設の趣旨に反することになります。和室や相談室、会議室は、施設の性格上据え置きとなっていますが、講習室880円が1,360円と半額以上の値上がり、軽運動室1,100円が1,560円と半額近くの値上げです。若い人たちにとり、値上げはつらいと思います。

 

 

 議第76号袋井市墓地条例の一部改正は、墓所使用許可証の再交付手数料300円を350円に値上げする内容ですが、70号手数料条例の所で述べましたように、このような手数料に3つの観点を持ち出し、値上げするのはおかしいです。

 議題77号袋井市水道事業給水条例の一部改正は、給水証明300円を350円にする手数料値上げの内容です。工事検査をする際500円を700円に値上げとなっています。水道は生活や事業に欠くことができないインフラであり、自治体は道路と同様に税金でインフラの整備を行っています。利用者は水道代を払っており、そもそも証明書発行に手数料を取ったり、工事検査に500円を取ること自体がおかしいです。まして値上げなど許されないと思います。

 議題79号袋井市都市公園条例の一部改正は、有料の公園施設に原野谷川親水公園東側広場を追加する内容です。とても広い公園の中に、野球やソフトボールができる球場があります。主に使っているのは、袋井市ソフトボール協会、少年野球チーム、シニア野球チームと知人から聞きました。もちろん無料です。しかしこの条例案が可決されると、今後有料となります。ソフトボール協会はスポーツ協会に所属しているから、減免措置がありますが、他の団体は困ると思います。

 議題80号袋井市月見の里学遊館条例の一部改正は、多くの施設があるので、たくさんの団体・法人・サークル・個人などが、マイナスの影響を受けます。

 うさぎホールが良く利用される土・日・祝日午後の利用料16,500円が21,450円と4,950円も値上げされます。うさぎホールは音響がよいので、コンサートが頻繁に開催されていますが、入場料は安く設定されている場合が多く、主催団体は営利を目的にしない団体ばかりなので、4、950円の値上げは厳しいと思われます。

 ある音楽グループに聞いたところ、掛川の美観ホールのほうが利用料が安いので、私たちはそこを使うようにしているとのこと。値上げにより、ますます他市町のホールを使う団体が増えることが予想され、袋井市の音楽・芸術の振興にマイナスになると懸念します。

 実は私が所属する団体は今年度、昨年度、憲法に関係する講演会をうさぎホールで開催しています。入場無料の憲法集会ですので、今後の利用はためらわれます。企業が入社式などでも利用していると聞きました。自前のホールを持たない中小企業にも影響が出ます。

 こども室1時間利用料190円が280円に、集会室1時間340円が510円と約半額かそれに近い値上げです。

 水玉プール個人使用料300円が450円に、65歳以上310円が430円になります。水泳は健康に極めて良く、水玉プールは夏場以外は温水なので、1年中高齢者の水中ウオーキングに利用されていますが、日本一健康文化都市を目指す袋井市政にとり、値上げはあり得ないと思います。

 議第81号袋井市メロープラザ条例の一部改正は、多機能ホール土日祝日午後16,840円が21,890円と5,050円もの大幅値上げです。会議室3時間利用すると、現行570円が840円に、和の空間3時間現行、1,350円が2010円になります。いずれも半額近くの値上げです。

 どの施設も値上げ幅が大きいですね。民間企業や事業所、お店では、これまでの値段の半額近くも一気に上げることはありません。せいぜい、5%から10%ぐらいの値上げです。消費者・お客さんに配慮して、これまで通り自社製品を使ってもらいたい、お店に来てほしいとの考えから、小刻みな値上げが普通です。

 

 昨日の中日新聞に県政世論調査結果が出ていました。県が2024年度調査したものです。暮らし向きが苦しくなっていると答えた人の割合が、過去2番目に高い49,9%となっています。生活実感として、あらゆるものが値上がりし、県民の約5割が物価高で暮らしが苦しいと答えています。

 このような状況で、袋井市のほとんどの公共施設利用料・使用料、役所での手数料が上がる、しかも値上げ幅が1.3倍から1.5倍になることは、市民生活と生活感情に大きなマイナスの影響を与えます。「役所よ、お前もか」と袋井市政に失望、期待できないと感じる市民が多く出るものと思われます。

 

小中学生たちが公共施設でのびやかにスポーツや音楽の練習ができる、高齢者たちが健康寿命を延ばすためにカラオケで楽しんだり、気軽にプールが利用できる、あらゆる階層の市民が音楽など文化を楽しみ、活動拠点を公共施設に置いて練習や発表会ができる、こうしたことができる環境を作るのが行政の役割だと思います。

 

スマイルシティ袋井のキャッチフレーズや、綜合計画基本構想のキーワード「誰もが笑顔で自分らしく輝けるまちの実現」「住み続けたいと思える魅力あふれるまちの実現」は、まさにそうした街を作りたいとの行政の決意でもあるべきです。

 

 財政難を理由に今回の値上げ案が出てきたと思われますが、値上げ収入がどれだけ袋井市の財政を豊かにするか考察しました。金額的に大きくないだろうと見ています。運動施設の大半は管理運営を民間委託しています。値上げによる増収は、委託会社や団体に入ります。

 

 市役所の窓口での手数料値上げ収入が市会計に入りますが、金額的に大きな貢献は考えられません。

 

 冷静に考えると、今回13もの値上げ条例案は、市民の袋井市当局への反発や失望を招くだけで、市当局にとっても益することはないと思います。

 

 以上の理由で、値上げに関係する13の条例案全てに反対します。

*採決では残念ながら値上げ賛成の議員が16人、反対2人で、可決されました。悔しいです。

 

 

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