議員としての課題 2019年
議70号平成30年度一般会計補正予算案、債務負担行為補正、袋井商工会議所持ち分財産購入費1億6000万円、袋井商工会議所建設費補助金7,500万円計上に、反対の立場から、意見を述べます。
私はこれまで当局の予算案に反対したことはありません。今回が初めてです。何故反対なのか、理由を、9つの観点から述べます。
1. 「公金支出は市民の利益にならない。逆に結果として市民に不便と迷惑になる。」
市民の税金の使われ方は、市民の利益にかなうものでなければなりません。1億6000万円の買取費、7500万円の補助金(この金額は県の補助金を含んでいるので実際は5000万円)の支出で商工会議所の事業計画が進み、市営駐輪駐車場の解体、8階建て複合ビルが建設されることにより、市民の駐輪・駐車場は台数が大幅に減少し、使いにくくなります。
車は86台から32台に、自転車は1048台から600台に、オートバイは95台がゼロになります。袋井駅南口に400台の駐輪場を整備する計画がありますが、2020年3月までに完成する確実性はありません。駐輪場予定地の地権者の同意が得られていないからです。
南口駐輪場はオートバイを含むことになっていますが、何台分になるのかまだ決まっていませんン。現在北口駐輪場でのオートバイ利用は80台から90台です。仮に南口に90台分スペースを取れば、その分自転車のスペースが減少し、おそらく自転車は300台ぐらいになるものと思われます。
現在の北口駐輪場自転車定期利用は754台。解体後整備される駐輪場は600台ですから、154台あふれます。一般利用の自転車は平均約160台。南口仮設青空無料駐輪場の利用は、約250台。仮に南口駐輪場が完成しても、合わせて900台分しかなく、南北駐輪場に現在1165台の自転車が止められていますから、200台以上が確実に止めるところが無くなり、駅周辺にあふれます。現在の北口駐輪場ができる前には、駅周辺に放置自転車がそうとうあったことを覚えています。
オートバイはJR線路下の通路が狭く通行禁止となっていますから、線路から北側にお住まいの方は、大きく迂回を強いられます。また600台の駐輪場は二層式なので、上の部分300台は、重い電動アシスト付き自転車や三輪タイプの自転車、幅広の自転車は物理的に止めることができません。高齢者には使いにくい施設となります。若者にとっても、電車の時間が迫っているときには、すぐ駐輪できない不便な施設となります。
8階建て複合ビルが完成した場合、ビル北側民家の日照権と景観が奪われ、ビル風の影響も受けます。迷惑をこうむるのは数軒に及びます。近隣住民が商工会議所に説明会を求めていますが、いまだに説明会が開かれていません。私のところに迷惑・被害を被ることになる住民から怒りの声が寄せられています。建築基準法では、周辺住民の理解を得るための住民説明会開催が義務つけられているにも関わらず、しかも度重なる開催要望にも商工会議所は応じていません。
また市当局も駐輪場の利用者に対し来年2月から使えなくなる、代替仮設駐輪場に移ってもらうとの告知及び説明会をやっていません。この事業は、市民にとり何らプラスにならず、不利益のみばかりでなく、周辺住民及び利用者の理解を得ておらず、やめるべき事業だと考えます。
2. 「市の財政にマイナス」
財政健全化のため、また受益者負担は当然との論理で、市のすべての施設利用料や手数料などの料金見直し案を、来年6月議会に出したい旨、財政課長から総務委員会に話がありました。来年度予算は各課6%減の大枠が示されています。それほど厳しい財政事情にあるということです。
総合センター商工会議所持ち分買取は、施設保守管理・水道、電気、冷暖房費など毎年維持管理に500万円前後の支出をあらたに強いることになります。
一般質問でも財政面でマイナスになると指摘しましたが、土地賃料や固定資産税・都市計画税が入っても1,350万ぐらい。32台の駐車場・600台の駐輪場からの利用料収入は現状の半額以下は確実ですから、2000万円以下となり、あわせても3350万円以下にしかなりません。平成29年度利用料収入の4300万円より約1000万円の損失です。30年間で、3億円の損失となり、総合センター維持管理費と合わせ、30年で4億5000万円、市の財政にマイナスとなります。
当局はことあるごとく、稼ぐ力・自主財源確保の大切さを強調しています。一般質問の際に現施設の稼ぐ力を詳しく説明したので今回は省略しますが、施設の解体・縮小は、確実に自主財源を生み出す力をそぎます。
3. 「商工会議所駅前移転、ホテル・イベントホールを含む8階建て複合ビル建設事業は、駅前商店街の活性化や賑わいにつながらない」
駅前商店街の人たちは冷めた目でこの事業を見ています。利益があるのはコンビニと飲食店だけ。自分らの店は関係ないと。300席のイベントホールは利用料と駐車場の関係で、あまり使われないことが予想され、駅前の賑わいには結び付きません。市民交流の場とはなりえません。
商工会議所は当初市当局に、中心市街地活性化基本計画の策定を求めましたが、その策定の困難性が原因でいまだできておりません。根本的な中心市街地活性化基本計画がない中で、単に8階建て複合ビル建設、その中にホテル・イベントホール・飲食店・商工会議所事務室会議室ができても、駅前の賑わい・活性化にはつながらないのは明らかです。
4. 「自転車を使った街つくり・環境にやさしい街つくりに、現施設解体・縮小はマイナス、悪影響を及ぼす。」
市の都市計画マスタープランにも、自転車を使った街つくりが書かれています。袋井市は平たんな地形故、自転車(高齢者はシニアカー)で容易に駅中心部に来ることが可能です。環境にやさしい街つくりでは、二酸化炭素排出量が少ないバイクが車よりも優れています。
現駐輪場は1048台の自転車、95台のオートバイ駐輪が可能ですが、これを解体縮小することにより、その機能が大幅に減少し、街つくりにもマイナスとなります。袋井駅から2キロ圏内に新住民を呼び込むキャッチフレーズの一つが、「駅まで自転車通勤が可能」、です。
5. 「障がい者・高齢者の雇用の場ともなりうる現施設の解体縮小は、その機能も縮小する。」
このことは一般質問で説明したので、項目だけの指摘にとどめます。
6. 「リスクが大きく、収支計画もいまだに提出されていない事業に公金支出は問題外。採決は延期すべき。」
ホテル運営事業者、建設資金を融資する銀行、そして何よりも事業主体の商工会議所・ど真ん中まちつくり株式会社にとり、この事業はリスクが大きすぎます。市当局・議会が商工会議所に収支計画書の提出を求めていますが、今日現在においても、提出されていません。
収支計画の最も重要な数字は、ホテル運営事業者が毎月支払う賃料と、どまんなか街つくり株式会社が金融機関に毎年支払う返済金です。これが明らかにならない限り、この事業が成り立つのかどうか、逆に破綻するのかどうかは、だれにも判断できません。
さらにホテル運営事業者と商工会議所の30年間契約の内容も重要です。途中撤退した場合の違約金です。商工会議所側は相当な違約金を要求し、相手側は不利にならない条件設定を求め、両者の交渉が決着していません。
弁護士を介在させての交渉が長引いている根本的な原因は、ホテル運営が採算が取れるのかどうか呉竹荘グループが相当慎重になっているからです。商工会議所が昨年市と議会に出した事業計画収支サマリーでは、ホテル運営事業者からの賃料収入が月650万円となっています。この金額では採算が取れないと、呉竹荘グループは根切交渉をしているものと思われます。
商工会議所側も16億円前後の借金返済に不安を感じています。以前の目論見では、市有地は無料で借りる、駐輪駐車場運営経営権を市から移譲してもらい、年5000万円の収入を見込んでいましたが、その前提は完全になくなっています。300席イベントホールの運営をホテル運営事業者に委託する計画も、採算が合わないと断られ、どまんかまちつくり株式会社がなれない運営をすることになっています。イベントホール経営は赤字になるだろうと思われます。
だから、いまだに収支計画が出せないでいるのです。議会でも数字を出してもらわないと困ると、商工会議者に要請しているにも関わらず、いまだに出せない状況ですから、採決は延期すべきだと考えます。
最も重要な資料が議会に提出されていない状況で、リスクの大きい事業に市民の税金を支出することは、断じて許されません。
7. 「総合センター商工会議所持ち分買い取り後の施設利用計画が決まっていないのに、買い取り補正予算を計上するのは、おかしい。」
1億6000万円もの買い物をするのに、なんのために、何に利用するのかも決まっていないのは、異常であり、非常識です。個人の家庭や民間企業ではありえません。単に商工会議所の資金計画に協力するためだけだと思われれます。
8. 「商工会議所が駅前に移転しなければならない必然性はゼロ。それなのに移転補助金を支出するのは、認められない。」
総合センター内の現施設のほうが、商工会議所にとり便利・安上りであり、わざわざ駅前に移転しなければ業務が遂行できない状況では全くありません。市役所・警察所・中央郵便局に近く、無料駐車場スペースが十分ある現施設のほうが、はるかに立地上優位です。必然性がなく、リスクが大きい移転計画に補助金を出すのは認められません。実は、県の補助金も出るのかどうか、さらにはその金額もいまだ不明確な状況にあります。
9. 「行政財産である市営駐輪・駐車場及び市有地を、その用途つまり駐輪・駐車場としての使用目的が変わらないのに、商工会議所に貸し出すことはできない」
自治法238条には、『 行政財産は、当該財産が供されている行政目的に沿って使用収益されなければならない。』と定められ、地方公共団体以外の者に使用させてはならない、賃貸・売却を禁じています。今年9月総務委員会で当局から「行政財産から普通財産に変更する。普通財産の貸与は議会の同意が不要。市長決済で商工会議所に貸与できる」との説明がありました。
しかし、今日の時点でも市有地及び駐輪駐車場は行政財産のままです。
行政財産を普通財産に変更するには、市役所内での手続きが必要です。今回問題となっている行政財産を管理使用しているのは、協働まちつくり課交通係です。そこが、使用目的つまり駐輪駐車場としての用途が無くなったから普通財産に変更したいと、所定の書類に必要事項を記入し、課長、部長、正副市長の決裁印をもらい、財政課の担当者にその書類を提出する、このような手続きが必要です。9月総務委員会からすでに4か月弱時間が経過していますが、その手続きがなされていません。
それには理由があります。決して協働街つくり課の怠慢ではありません! 今現在も毎日約1000人の市民が駐輪駐車場として利用している、行政目的に沿って使用収益(収益という意味は、収益をあげているという意味です)されている、そして用途は2020年以降も市営駐輪駐車場として変わらないからです。
一般質問でも説明しましたが、袋井市政において、用途が変わらないのに、市民に利用されている行政財産を普通財産に変更した事例は1件もありません。地方自治体は法を守る立場です。自治法に違反することは断じて許されません。
結論 収支計画も出されていない、住民説明会も開かれていない、施設利用者及び近隣住民の理解も得られていない、ホテル運営事業者との話し合いもまとまっていない、金融機関からの融資も確実に受けられるかどうかも決まっていない、そのようなナイナイ尽くしの事業に、市民の税金を支出するのは到底認められません。
以上述べた観点から、私は議70号補正予算に反対します。
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